ベルサイユ製麺

クローバーフィールド・パラドックスのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

3.5
“続編が全然別物”と言えば『スカイライン』も相当なものですが、コレも凄いよ…。
クレバーな宣伝手法と、大菩薩峠並みに振り回される激酔カメラワークで、注目と噴射する胃酸を浴びた初作はリアリティ演出の怪獣パニック物の先駆けになったわけですが、何の説明も無く(←強いて言えばソコこそがクローバーフィールドismか)密室監禁物+未知との宇宙戦争になる2作目、そして今作はついに近未来の宇宙が舞台になっちまったよ!


数年後にはエネルギー資源の枯渇が判明している地球。(生活にほぼ未来感が無いのが怖いです)エネルギー問題解決の鍵は“シェパード粒子加速器”の完成にかかっている。(※動力がガリガリのシェパード犬なのだ!)…その実験は危険を伴うため宇宙ステーションで行われていた。

しかし度重なる失敗によりエネルギーをロスし、加速器はあと数回しか動かすことが出来ない…。その頃地上では限られたエネルギーを確保しようとロシアが軍事行動に出る。確かにロシアそういうとこあるぞ!
緊張状態で迎えた実験は遂に成功!…かと思われたが、安定する前に装置は何故か急失速、からのステーションのあちこちからの出火!!あちゃあ…。

大慌てでなんとか鎮火、損傷具合の確認をしていてふと気がつく。ここは…?地球は何処だ…⁇



…いやあ、御機嫌!めちゃくちゃに訳が分からない。自分にSFの基礎教養が圧倒的に不足しているものだから、徹頭徹尾マジ分からん。”漁師も釣れ”ってなに?そもそも一般的な化学の知識に自信が無い。“ふっとう”がギリで理解出来るかな?水から泡が出るやつ。
…まあ、分かる人には分かるのだろうけど、とにかく宇宙ではどうかすると、腕が勝手に歩き出したり、壁の中に封じ込められたりするらしいのですな。怖〜。前澤も気を付けろよ?お前の髭も歩き回るし、ランチパックに閉じ込められたりするぞ…。
描写的には恐らく『フィラデルフィアエクスペリメント』の影響はあると思います。あと、影響…は流石に無さそうだけど近いフィーリングを感じたのは未完の傑作SF漫画『度胸星』ですね。乗組員たちがまるで理解の及ばぬ出来事に翻弄される感じは近いと思います。
主人公は女性クルーのハミルトン。宇宙ステーション内を生き残った面々と、地球の未来をかけて這いずり回ります。で、要所要所で地球にいる彼女の夫のパートが挿入されます。…どっちかと言えば地球パートの方がオリジナルの『クローバーフィールド』に近い事が起こっているように思えるので、こっちをしっかり描く作品も観たいですね。
突飛なストーリー展開を除けば、正直見た目は割と平凡なのです。それが何故だかちょっと変わった作品に思えてしまうのは、1つは独特のユルいユーモアセンスに有ると思います。予期せぬアクシデントの起こるタイミング、テンポ感や、それに対する何処か間の抜けたリアクションは、ともするとコメディ的に見えてしまいます。(そこが好き!)
それと地味ながら凄く印象的な劇伴。モンド感が有って、不穏で最高です。
物語の筋書きからすると無限のバリエーションが作れそうな設定ですので、是非別バージョンとかバンバン作って欲しいですね。
…なんなら『スカイライン』の世界と合流してしまうという展開も…。