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散歩する侵略者のmuraのレビュー・感想・評価

散歩する侵略者(2017年製作の映画)
4.0
愛が人類を救うか…。使い古されたこのテーマを、これまでに見たことがないような斬新な手法で描いてきたなと。

地球にやって来た3人の宇宙人。彼らは侵略前の斥候として送りこまれている。情報を収集するために地球人になりすまし、周囲を徘徊する。散歩するように…

(以下ネタバレあり)
彼らは散歩しながら思索にふける。そして地球人への理解のために必要と思われるキーワードに対しては、地球人のなかにある「概念」を奪い取る。家族とは何か、所有とは何か、自分とは何か、仕事とは何か、そして愛とは何か…それを問いかけ、答えを奪う。

ただこれらは、地球人にも簡単には整理できないこと。宇宙人が問うという形を借りて、地球人(映画を見ている者)に考えさせようというのか。

哲学か。さすが黒沢清だなと。

見ながら、最後にどう着地するか想像できなかった。予断をまったく許さないって感じで。また最後まで見ても、この作品をどう理解すべきかわからない。ホラーかSFか、もしくはコメディか。それでも面白いものには違いない。

…が、もう一度見てみないと何とも…笑

それと黒沢作品は、どうしても「不穏なもの」を期待してしまう。時おり暗くなる映像に少しだけ「不穏なもの」を感じたが、『岸辺の旅』ほどではなかったなと。

というか、やっぱりハードルを上げてしまうな(笑)
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