まちゃん

クルエラのまちゃんのレビュー・感想・評価

クルエラ(2021年製作の映画)
3.9
ヴィランの誕生物語と聞いて「ジョーカー」をイメージして見始めたがかなり違った。追い詰められた末にヴィランに変貌したジョーカーに比べてクルエラは自分の意志が強い。ある種の爽快感があり悪役とはいえ好感を持った。この爽快感の理由の一つにこの物語がより強大な存在に立ち向かう若者の成り上がりの物語だという事が挙げられる。後にクルエラになるファッション・デザイナーに憧れる少女エステラの目標はロンドンのファッション業界を牛耳る大物デザイナー、バロネス。エマ・トンプソンが好演するバロネスは初登場シーンから圧倒的な存在感で観る者を圧倒する。才能、傲慢さ、冷酷さとまさに世界の中心に君臨するカリスマだ。このバロネスに才能を認められてファッション業界に入ったエステラ。バロネスとの関わりの中で豊かな才能とヴィラン、クルエラとしての部分を開花させていく。70年代の名曲の数々と共に繰り広げられるクルエラのショーは奇抜なアイデアに溢れ、ファッショナブルで魅惑的だ。エマ・ストーンがクルエラを楽しんで演じているのが伝わってきてこちらまで心が浮き立つ。2人の女の戦いはどうなるのか。素晴らしい快作だと思う。
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