ベルサイユ製麺

ザ・ウォールのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

ザ・ウォール(2017年製作の映画)
3.4
フィルマークスで『ザ・ウォール』で検索して出てくるジャケ、全部良いな。
今作はダグ・リーマン監督。
ソリッドシチュエーション・ミリタリーアクション、なんてジャンルは無いかな?
イラク戦争末期、スンニ派の伝説的スナイパーの標的にされた米兵アイザック(アーロン・テイラー=ジョンソン)とマシューズ(ジョン・シナ)。見渡す限りの人気の無い荒野で、身を隠せるのは小さな瓦礫の壁だけ。マシューズは銃撃を受け重症、壁の向こう側で死を待つのみ。通信機器は破損。果たして彼等は生還できるのか?

…面白い、と言い切ることに罪悪感を覚えます。登場人物はほぼ2人のみ。敵スナイパーは徹底的に姿を見せません。様々な環境要因や情報を考慮に入れながら、姿の無い敵と闘う、というのはある意味で非常に今日的なテーマでもあると思います。そもそも舞台がイラク戦争で、主人公が米兵側という設定もなんとも苦い…。正直、ラストの展開には溜飲が下がる感覚もあって、なんともアンビバレンツな気分。更に寡聞にして知らなかったのですが、何十人も仕留めた伝説的スナイパー“ジューバ”は実在するようですね。娯楽作品の題材としては不適切な気もします。自分が拘り過ぎなだけなのかしら?

ワンシチュエーションで撮りきる脚本は見事なのですが、流石に同じような風景の連続に中弛む瞬間もありました。何か、軽い回想とか脳内の描写のシーンとかあっても良かったかもしれません。
スナイパー同士のバトルは『ハートロッカー』にも素晴らしいシーンが有りましたが、今作はもっと人間性剥き出しで、エモいです。好みは分かれるかもしれません。個人的には浦沢直樹の戦争ネタ漫画みたいで、好きっちゃあ好きです。舞台劇にしても面白そうですね。
…うん。なんかノリが悪いレビューです。アーロン・テイラー=ジョンソンが砂塗れのマッチョで、もはや『キック・アス』の面影は無いですね。あと、名前の=はなんなのでしょう?画数気にしてる?なんてねー。ははは…。