海

犬ヶ島の海のレビュー・感想・評価

犬ヶ島(2018年製作の映画)
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迷子札、小さな歯、青いあざ、ビスケット。感情できみに近づくたび、空気が夜に近づくたびに、まぶたの裏側にずっとあった、たった一つの願いが零れます。同じ夜を越えて、同じ涙を流した少年と犬。「いい子だね」と抱きしめたアタリくんのちいさな耳が、チーフのこめかみにそっと触れたのです。忘れないでいたいです。声が出なくなった日にそばに居てくれた犬のこと、毎朝わたしの事を透き通った海のような瞳でみあげてくる猫のこと、わたしが彼らをすくったのではなく、彼らが今もこれからもずっと、わたしをすくい生きていてくれるのだということを。
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