水牛の背に乗って笛を吹きながら現れた少年は、牛に水浴びをさせて木の上でまどろむ。
牛は美しい沼からはなれ大きな滝の下へと行く。
目覚めた少年は牛のいないことに気づき、笛を吹いて牛を呼ぶが・・・。
少年と水牛の動きと笛の音に癒される、シンプルで詩情溢れる水墨画アニメーション。
田園風景の中で、牛飼いの少年と水牛との心温まる交流を表現。
セリフや解説がいっさいないので、想像力を働かせて見るには格好の作品です。
ストーリーというほどのストーリーもない20分間に、しかし、その線と色そして動きが、驚くほど多くの思想、豊かさについてのメッセージをこちらに投げかけてくる思いがした。
中国といえば質の悪い日本の下請け動画というイメージばかりが広まっているが、文化大革命によってまさに文化が革命的に破壊される以前の、中国の良質なアニメ文化を見ることができる。
あの美的芸術は中国以外では作りえないものだったと思います。
何が良いって水牛の背中の質感。
滲んだ背景の繊細な色合いも美しいです。
水墨画のにじみを活かした水際の表現とか、ラストの鳥の大群が羽ばたいてくるところとか何度見ても凄い。
この技術、文化大革命で途絶えたのが惜しい。
文化は脆く壊れやすいと心しておきたい。