こたつむり

ダークレインのこたつむりのレビュー・感想・評価

ダークレイン(2015年製作の映画)
3.0
鈍色の雨が降り注ぐ中。
ゆっくりと退廃していく世界。
思いついたとしても誰も触れなかった“それ”を描いてしまった禁忌の作品。

ミステリと思ったらオカルト。
SFだと思ったらオカルト。
美人だと思って振り向けばオカルト。
と、世の中にはオカルトが満載です。ある意味、オカルト=世界と言っても良いかもしれません。

しかし、オカルトはオカルト。
全てを真面目に受け止めてしまうと疲労困憊に陥り、思わず疾走して失踪したくなりますので、基本的には話半分で流すのが吉なのです。だから、僕の書く感想も同じですよ。まさか、これまでの文章…全て真実だと…思っていないですよ…ね?

という前振りもオカルトなので閑話休題。
本作の導入部は格好良かったですねえ。あえて色を落とした雰囲気はセンスの塊。また、中盤以降で明らかになる真実を表現した役者さんも最高でした。というか、目が怖い。本当に目が怖い。スリラーに登場するために生まれてきた、と言っても過言ではありません。

しかし。それでも。
オカルトはオカルト。
真面目に受け止めてはいけないのです。
何しろ、本作は、鉄と錆と血の色に満ちた廃墟の中で行われる『おそ松くん』。どんなに恐怖に満ちた演出が繰り広げられても、基本は赤塚不二夫先生のマンガ。反対の賛成は反対であり、青島幸男ならぬタリラリラ~ンのコニャニャチワで、これでいいのだ!

うん。何を書いているのか解らなくなってきました。

どちらにしろ、本作のキャッチコピーである「映画史上かつてない、震撼のラスト15分」は間違いではないし、正解でもないのです。震撼とは“人をふるえあがらせること”でありますが、それが恐怖なのか衝撃なのか…それとも他のものなのか…明言されていないのですからね。

何はともあれ。
ホラーとかサスペンスとかスリラーを大いに期待しなければ…つまり真面目に鑑賞しなければ…脳味噌本体はシャットダウンして、予備電源だけで鑑賞すれば…楽しめる作品だと思います。そう。本作のような作品が表現の幅を広げてくれるのですよね。一寸の虫にも五分の魂ですなあ。

…というか『パラドクス』の監督さんだったのか!なんだか納得!
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