このレビューはネタバレを含みます
自宅にて鑑賞。メキシコ産、原題"Los Parecidos(英題:"The Similars")"。深夜零時過ぎ、一向に止まない土砂降りの中、バス停留所に取り残された八人の男女、下界から遮断されたソリッド・シチュエーション・スリラー。全篇、彩度を抑えた色調にケラレが出ており、紗がかかったソフトフォーカスっぽい画面──まるでぼんやりとした夢を見ている様な雰囲気に統一されている。そして迎える田舎道を走るバスと拡がる青空と云う打って変わった鮮やかなラストショット。風変わりで奇妙な人を喰った一作。50/100点。
・緊迫した雰囲気の連続だが、起こっている事象はコメディっぽくこちらの反応を試されている様な感覚に陥る。半ば過ぎから何が起こっているのかと云う関心より、どう結ぶのかに気が行った。有態なホラーを期待すると失望するかもしれない。
・進行するつれ、どんどん不条理に陥るが、終始離人症を思わせる展開である。BGMは往年のA.ヒッチコックを髣髴させる調べだし、クロージング・クレジット("FIN"表示直後の)表示もヒッチコックのを思わせた。ラスト近くのシーケンスでは『パラドクス('14)』との繋がりを匂わせる箇所がある。
・昨今では殆ど見掛けられない妊婦による喫煙シーン有り。監督・脚本に(共同)製作を兼ねるI.エスバンによれば、本作は'50年代・'60年代のB級映画の影響下にあると云う。
具体的にはR.サーリング、R.マシスン、P.K.ディック、M.クライトン、S.キングの諸作品であり、『ミステリー・ゾーン('59~)』や『アウターリミッツ('63~'64・'95)』、『FRINGE/フリンジ('08~'13)』の各TVシリーズ、『SF/ボディ・スナッチャー('78)』、『遊星からの物体X('82)』、『“アイデンティティー”('03)』、『運命のボタン('09)』、『クラウド アトラス('12)』を挙げている。
・鑑賞日:2018年1月21日