2016年の韓国映画。アイドルグループ「EXO」のD.O.と『建築学概論』のチョ・ジョンソク共演作。共演は『7番房の奇跡』のパク・シネ。
評価が高いのは知っていたが、これは予想以上の感動作だった。韓国映画らしい温かな人間ドラマであり、兄弟愛の美しさに涙が止まらない。コミカルパートで笑いも取りつつ、シリアスと感動とで全体を引き締める。韓国映画の王道の作りであり、その中でも出来栄えはトップクラスであると評したい。
男子柔道オリンピックの金メダリスト候補でありながら、事故で視力を失った弟をD.O.が演じ、刑務所から出所した兄をチョ・ジョンソクが演じている。二人の溝が徐々に埋まってゆく過程がとても微笑ましい。兄貴のツンデレっぷりがもう最高だった。弟のためにナンパの仕方をレクチャーしてやるシーンは爆笑。弟にとって、いろいろ教えてくれる兄の存在は嬉しいもの。ふさぎ込んでいた弟も、兄によって徐々に前向きになり、もう一度前を向く勇気を与えられる。『あの日、兄貴が灯した光』という邦題もぴったりだ。
少しばかりあざとい演出や展開があるものの、大きな感動と俳優の力強い演技でそれを帳消しにする。こてこての内容といえばそうだけど、それでもしっかり感動させられるのだから文句もない。美しい物語だ。
本国での動員数は300万人超とのこと。これだけの完成度ならばそうだろう。兄弟愛の尊さと、どんな困難な時にあっても他者を思う心の大切さを教えられる。素晴らしい感動作であった。