Aya

三度目の殺人のAyaのレビュー・感想・評価

三度目の殺人(2017年製作の映画)
3.7
高カロリーな上、説明が丁寧。つまりスマートではないということ。
しかしこの高得点を叩き出す是枝イズムな!

※このレビューは「怒り」のネタバレに触れているので気をつけて!

てかさ!
みんな思ってると思うけどさ!

是枝裕和の新作と黒沢清の新作を同じ日に公開すんなよ!!

どっちも同じくらい面白そうでどっちも同じくらいお金かかっててどっちも同じくらい好きだからどっちも超高速で見たいじゃん!!

じゃあなぜ私がこちらを選んだかと言うと・・・東宝でかかってたのよ〜。

ただでさえ秋の新作は盛りだくさん。

TOHOシネマズ二条は新作をどーんとやって、それ以外を押し込める押し込める!
「こどもつかい」なんて朝8時代で見たからね?

そんな東宝にフジテレビが乗っかった形なのに是枝監督、おっ、おそろしい子!と思いました。

「三番目の殺人」てそういう意味??

いや深読みしてしまうと真実を殺した、とも言える・・・むむむ。
色々邪推させられますが、ぶっちゃけわかりやすいです。
説明が丁寧。
そこまでセリフにしなくていいんじゃないか?と思うとこが結構ありまして・・・・。
演出もわりとわかりやすいと思います。

てか私、途中で「あれ〜?是枝作品見に来たはずなのになんか黒沢清じゃん。間違えた?」と思ったw

それくらい役所広司の演技が凄い!!
役所広司と言えば「回路」や「CURE」をはじめ黒沢清映画との相性はバツグンにいいじゃないですか?!
そして共演は是枝作品「そして父になる」で俳優として一皮剥けた福山雅治。今回もエリート主義のダメ父役。

役所広司演じる殺人の前科がある男が勤めていた会社の社長を殺害。
二度目の強盗殺人ということで死刑は免れない。そんなところに敏腕弁護士(に見えない事務所だよねw)の福山雅治が司法修習の同級生から頼まれ、見習いの満島真之介くん(すげえイケメン)を連れて弁護を引き受けることに。

この役所広司演じる犯人がまぁ気持ち悪いの!!
言うことコロコロ変わるしそれ大事だよね?!ってこと、全然気にしてない感じだし、かと思ったら急にキレたり。
で、あのピーナツバターですよ!
そんなに塗る?!
差し入れって貴重じゃないの?
ああいう自然な演出にかなり狂気を感じたというか・・・この人サイコなだけじゃ?と私も思ってしまいましたよええ。
あの手を合わせるシーンのキモさには思わず顔をしかめたよ!

でもラストに明らかになるあの人があんな行動に出ていた理由・・・。
その前の段階まででわりとキモさ肯定描写がキチンとしてるからうっかり・・・

私、あなたのこと全然わかってなかった(ToT)

対峙する福山雅治演じる弁護士も実は情がない、とかではなくて。
加害者弁護だから国選ですよね?(あ、頼まれてるからまた違うのかな?)しかも殺人事件だから裁判員裁判。
確実に依頼人の利益=減刑を射止める方向で動いていくが、だんだん新しいことがわかってきて・・・。
なんか探偵ものかストーカーみたいやったよねw

被害者の娘である広瀬すず。
「四月は君の嘘」とかクソみたいな映画にたまに出てるけど、やっぱ彼女ってものすごく魅力的ですよね?
顔も声も存在感が特別って感じ。
そら洗濯バサミでも可愛いわ!
またこのような役を・・・ほんと凄いなぁ。

いや、本当真実って一つしかないですよね?
でもそれを客観的に見ていた人がいなければ、それは当事者しか知り得ない真実になってしまいますよね?

それをどう考えるか?

物的証拠?当事者の証言?この辺の「さぁあなたはどうする?」と常に問われてる気がして、とても居心地が悪かったです。

それは私にあまり主観がないから。
ああ、あの人がいうならそうなんじゃない?と簡単に信じてしまう上、他人のことなんてぶっちゃけどうでもいい。
そんなその他大勢である私のような「人間」が人を殺したり生かしたりする日本の法制度、しいては人間の判断とは?と考えさせられた次第であります。

吉田鋼太郎さんというヤメ検ミドル弁護士にタメ語で話すかなり年下の福山雅治に、違和感を持たれる方がもしかしたらいるかもしれないけど、同期の司法修習生とはそういうものです。
多分その説明が福山雅治の父親である元裁判官、橋爪功が事務所に訪ねて来た時、真之介くんに「君、何期?」って聞くセリフかと。
知らない人にはわかりづらいよ!

コメント欄にガンガンネタバレたやりとりをしているのでご興味がある方は是非★
Aya

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