イライライジャ

生と死と、その間にあるもののイライライジャのレビュー・感想・評価

3.7
よく“インドに行くと人生観が変わる”と聞くが、バラナシにあるガンジス川では側に火葬場があり死体を焼いて遺灰を川に流す。死体を焼くのはダリットと呼ばれる不可触民。つまり奴隷より下に属する虐げられし人々。
その傍らでたくさんの沐浴をする人がいる。ガンジス川ではまさに生と死を感じることが出来る。

本作では、そんな火葬場で家族代々死体を燃やして暮らす少年と、その少年がFacebookで一目惚れした令嬢の娘との淡い初恋のエピソード。
それと、コンピューター講師をする女性と男子学生がホテルでセックスをしているところに警察が踏み込み男子学生は自殺。自殺ほう助罪として30万ルピーの賄賂を要求された女性のエピソード。
この2つの物語が同時に進み、最後に交わる。

カースト制のインドには許されない恋愛が存在する。自分の子供が別々のカーストの人と恋愛すると家族や世間体への名誉のために我が子だろうが殺す親がいるほど。
本作でも別々のカーストの男女が隠れて恋をする。
真実を話すことなく、話せることもなく、愛する人はガンジス川へと消える。

生と死のそのあいだにあるものという邦題が素敵。生と死のあいだには“愛”だったり“悲しみ”だったり“秘めごと”だったり、各々の想いがあるんだなと思う。

インドの貧困と現実は予想以上に残酷だけど切なくも心地いい余韻を残してくれる。