『処刑の部屋』
1956(昭和31年)
大映
「僕は嫌だ。僕は生きるんだ。反抗するんだ」
「もうお互いに飽きても良い時分じやないかな」
「私はあんたの何だったのよ?」
「女さ」
「そんな言い方よして」
「それ以外の何だったんだ。俺はもうあんたを欲しくないんだ。つまりね、わかりやすく言えばあんたを裸にしても何にも感じなくなったのさ」
石原慎太郎の短編小説が原作。「太陽の季節」「狂った果実」と共に「太陽族映画」と呼ばれてヒットしたが批判も多かった。
不遜な大学生が女子大生をナンパして酒に睡眠薬を入れて昏睡させてレイプする。強盗を教唆して内輪揉めして自滅する話。
映画が公開されてから真似をして睡眠薬を使ったレイプ事件が起きたので神奈川県では上映禁止になった。『時計仕掛けのオレンジ』みたい。
ピカレスク物語の一種だろうが主人公に全く共感できなかった。早く罰を受ければ良いとみている間ずっと思っていた。
傲岸不遜、パワハラ、性加害、暴力。悪しき男性性のかたまりである主人公は全く受け付けられない。
若者の反逆とかいう立派なものではない。無軌道で欲望に身をまかせるだけのチンピラ犯罪者。
石原慎太郎の死と共に作品も忘れ去られてほしい。
脚本と監督の腕前は素晴らしいが内容は受け入れられない。