yukihiro084

羊と鋼の森のyukihiro084のレビュー・感想・評価

羊と鋼の森(2018年製作の映画)
4.0
(蜜蜂と遠雷)を読んだ時、
ビックリした。小説の果てのない
可能性を知った。素晴らしかった。

(蜜蜂と遠雷)の予告を目にするように
なった。観たいような観たくないような。

(羊と鋼の森)を読んだ後も
そうだった。派手さはないが、
読んですぐ、本屋大賞はこれだ。と、
SNSに書いた。映画化。
映画館に観に行く勇気はなかった。

ピアノ。
アップライトピアノでも
安い買い物ではないはずだ。
昔付き合っていた女の子の家に
ピアノがあった。
義理の兄嫁の実家にも、
息子のクラスメイトの家にも
ピアノはあった。ピアノは
まるで家族の一員のように
その部屋にフィットしていて、
大事に大事に使われていて、
みんな何かをキッカケに、
ピアノを演奏し出した。
そして誰もが楽しそうに
演奏をしていた。
それぞれの家に、きっと
ピアノの思い出があるんだろう。

たくさん部品。たくさんの工程。
たくさんのリクエスト。それに真摯に
向き合い応えてゆく調律師たち。

それは、例えばウイスキーの
ブレンダー。ワインのソムリエ。
土や野菜と向き合う農家の人々。
サラブレッドを送り出す調教師たちを
見ているようだ。

静かに、紡がれる物語。
観てよかった。
特に中盤からラストに向けて、
物語に寄り添うにように僕は観ていた。
ピアノの音色なんてわからないのに
あっ、さっきより明るい音になったとか、
あっ、さっきより力強くなったとか、
頰を緩ませながら。

蜜蜂と遠雷、観に行かなきゃね。うん。
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