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きみの鳥はうたえるのもとやのレビュー・感想・評価

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)
4.2
具体的には言わない。感じさせる。日常を、瞬間を、その夏を、人生を感じさせられた。フワッと入りこまされて、一緒に日々を消化、溶かしていく感じ。そんな映画やった。

そこのみにて光り輝く、オーバーフェンスの佐藤泰志の初期最高傑作で主演3人が佑兄さん、染谷、シズカちゃんなんて面白くないワケないだろう。求めているものがそこにある。若さ、イヤらしさ、刹那さ・切なさがあると思い、ドヤりながらユーロスペースへ。何回カメ止めをみにいっても売り切れだったトラウマユーロスペース。。。今日は大丈夫だった。カメ止めも売り切れてなかった。結局それは日比谷でみたが。ユーロ会員になりEの11で彼らと青春を共にした。

独特なアップのカメラワークや浸り浸らせてくる音楽、薄っぺらい特に感動やドラマもないバイト先・職場の人間関係、同棲という青春コンテンツ。終わらないような、夏。終わってしまいそうな、夏。2人の関係性が凄く良かった。僕とシズオ。幼馴染みな訳でもバツグンに意気投合した訳でもないような。なんか、イイ。そんなフィーリングで住んで暮らして日々を過ごしている彼らに、不思議な魅力を感じさせられずにはいられない。

しかし、同時に怖さも受けてしまう。3人とも怖かった。つかみどころのないという表現がうまくハマる。この3人は別の意味での不思議な魅力も匂わせている。ユラユラ揺れてフッと突然消えてしまう灯のような、そんな不安定さが愛おしい。ローソクのような心地良さだった。もっと僕は彼らの人生をみていたかった。

MVPは石橋静河。ポスト門脇麦というか、なんというか。また別路線での道をこじあけつつある彼女にしか、佐知子は演じられなかっただろう。佐知子って幸子かと勝手に思ってた笑。さすが監督が決めたお3人。他脇役の方々も非常に豪華で、演技に退屈せずみれます。シマってます。

地元北海道の函館が舞台というのもプラスプラスポイント。やっぱりどこか違うんだよなぁ北海道の情景は、こっちとは。どっちも良さがあるんだけど、北海道の街並みはココがその違い!ってうまく言えないんだけどわかってしまうあの雰囲気。なんなんやろ。函館は映画によくでてくるし、地元とはかけ離れてるが何回か行っているのであぁイイねぇとしみじみ思いました。あの朝、やっぱイイね。夜景ももちろん、キラキラしているがなんかボヤけてる感じしてリンクしてるとこもあるのかなと勝手に深読みして浸ってました。

にしてもシズカちゃんエロいな。逆のエロさな。最近はコレがトレンドだな。逆にものすごエロい。ボンキュッボンのチャンねーよりも生々しさ、他を寄せ付けない圧倒的なリアル。汗、夏。逆のエロさ。

本屋のメンツもいい具合にでしゃばってなくておもしろくて好きだったし、名セリフ散りばめられてるし、電気消せよとシズオのスロードア閉めが最高。エモいわ。エモったアレは。ニヤついたわ。「生活」を表現するって難しいけどイイよね。

おれの鳥もうたえるかな。うたってるかな。とりま杉の子、気になるよな。。。
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