醗酵人間

ハウス・ジャック・ビルトの醗酵人間のレビュー・感想・評価

ハウス・ジャック・ビルト(2018年製作の映画)
4.6
セックスと殺人は似ていると思う。どっちも生死を決める、いくかいかせるの行為だ。いきた過ぎた女を描いた「ニンフォマニアック」の裏にある、いかせすぎる男が「ハウス・ジャック・ビルド」なんだと勝手に思った。「燃やす女」と「凍らせる男」、「燃焼させる女」と「腐敗させる男」。かなり対照的(ネガ)だった。生を司る女性の葛藤の裏の、死を司る男の葛藤、それが面白くない訳がない。

だから今回も根本はキリスト教の世界観。
行き過ぎた男のイカれた行為から、見つめる我々自身の葛藤と罪。この映画を観る行為が彼の存在を肯定しているようで、それがまた気持ち悪い(ナイトクローラーを思い出す)。
過激な映像は期待以上で、とても胸糞悪くなった。精神のコンディションを整えた状態で望んでも、観終わった後の気持ち悪さは相当なものである。

結局、家ってのは世界の最小単位なわけで、ジャックの建てる家は、すなわち彼の世界なわけだ。
多くの命を殺して建てられる家ってのは、そんなに責められるものなのか。
文字は正義と悪を分けてくれるけど、その行為は正義なのか悪なのか。大事なのは命への敬意か。この映画のいう「愚かさ」とはそこにあるのか。
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