カズナリマン

ハウス・ジャック・ビルトのカズナリマンのレビュー・感想・評価

ハウス・ジャック・ビルト(2018年製作の映画)
4.1
おかえり!ラースが胸糞コメディに帰って来た!

久々に全力で笑いを取りにくるラース・フォン・トリアー監督作品!胸糞スリラーとしてもアリですが、これはもはや社会派コメディとして楽しんじゃうのがヨシ!

不器用なシリアルキラー、ジャックが次々繰り出す鬼畜ギャグに爆笑につぐ爆笑!自分は大いに楽しめました!

○一応ストーリー
1970年代、ワシントン州。建築家を夢見るハンサムな独身の技師ジャック(マット・ディロン)は、ある出来事をきっかけに、アートを創作するかのように殺人を繰り返すように…

映画はひたすら、建築家になりたい「劣等感の塊」のようなジャックによりそい、暴走していく彼のシリアルキラー行為を描いていきます。

ひょんなことからスタートした彼の行為は最初はつたなく、運に救われながら、やがてエスカレート。ゲームのように行為を楽しみだすジャックの異常性をトンマに描くことにより、怒りの爆笑コメディ・デスロードを疾走していきます。

しかし、この疾走についてこれないと…

「…こんなの何が面白いの?」
「監督が夢見た鬼畜行為を映像化したかっただけでは?」
「世間の気持ちを逆なでしたいだけでしょ?」

ってシラけた感想になっちゃう可能性も。

でも本当、それってもったいない!だって本作はコメディ映画の最「鬼畜」端に位置する、鬼畜コメディ・ユニバースの北極星的な輝きをもってる作品!!

潔癖症ギャグとか、道路の跡ギャグとか、写真のポーズギャグとか、家族ギャグとか、チャッキーギャグとか、お財布ギャグとか、もーー忘れられない爆笑シーンがとにかくたまらん、傑作コメディなんですから。

自分がなぜこうも「ラースはコメディ作家として超優秀」感を出すかと言うと、自分にとってのラース・フォン・トリアー監督の代表作は「ダンサー・イン・ザ・ダーク」や「奇跡の海」や「ドッグヴィル」ではなく、「キングダム」。
こちらはデンマークのTV局制作のホラーコメディドラマですが日本やアメリカでは、5時間の映画として映画館で上映されました。
この「キングダム」こそ、めっちゃ怖いホラーなのに超爆笑できる、ラースのコメディ作家としての素晴らしさを見せつける超傑作なのです。

そんなラース監督のコメディ才能をしってればこそ願っていた「ラースのコメディ復活」。それがついにこの「ジャック・ハウス・ビルト」で叶ったわけです。そして彼の歪んだコメディ視線は、「キングダム」の昔から少しも衰えていませんでした!

やーーこれからもラース監督には鬼畜コメディ、作り続けて欲しい!

しかし、こんなこと↑言ってると周囲に「こいつサイコか!」と思われる可能性もあることを加味し、本作ファンの男性陣に忠告したい。
「好きな子には、この映画好きって言わない方がいいよ!」
それっくらい人を選ぶ作品だし、女性には特に失礼きまわりないシーンのオンパレードです。
あるシーンで主人公ジャックは女性被害者に向かい、
「女性はこうされるのが当然!」
的に言い放つシーンがあります。むろんラース監督はそんなこと微塵もおもってないのですが、主人公のシリアルキラー、ジャックが女性を様々な方法で殺害していくシーンに笑いを絡めるとコレは…嫌悪感をいだく女性(男性も)が増えるのはもう避けられないことで…
うん、やっぱり彼女や奥さんには「ラース最低!」と言っておきましょう。

しっかし、ほんと爆笑できるシリアルキラー映画でした!