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アンダーウォーターのkeeper7のレビュー・感想・評価

アンダーウォーター(2020年製作の映画)
3.2
作品の存在は一年くらい前に知っていて気になったがそのまま忘れ、最近また思い出し鑑賞に至ったがそんな期間ほっといた事を後悔するくらい自分には良い作品だった。

舞台を他環境に持っていった数多ある「エイリアン」の亜流作品なのは一目瞭然だが、気になった理由は閉鎖空間で未知の脅威と人類の対決というエイリアン設定が好きだからという理由がひとつ。
それから亜流にしてはセットや美術に力が入っていてスルー出来ない何かが画面から伝わって来たからだ。

しかし亜流はオリジンを越えてくる事はまず無い。それを承知でのB級感(時にはC級、観たのを後悔したZ級もある!)をあえて楽しみ、敵対する脅威のデザインが好みであれば亜流作品としてもまぁ合格くらいのルールが自分の中にはある。(サメ映画と同じノリ)
本作にはせめてピーター・ウェラー主演のリバイアサン(1989)もしくはロブ・ボッティン先輩がクリーチャーデザインしたザ・グリード(1998)くらいの出来だったら儲けものという感じで鑑賞した。

全体的に既視感アリアリなのだがエイリアンと同じく20世紀Foxの配給というのが関係してるのか分からないが(本作はFoxという名称最後の配給作品だそう)バジェットはしっかりかけていて初めの印象を超えてくる作品クオリティ、VFXクオリティに圧倒された。

まず冒頭でも書いたがプロダクションデザインが良い。多分監督はリドリーの「エイリアン」が大大好きなのだろう。潜航スーツ(エイリアンの宇宙服デザインは大友克洋氏も多大な影響を受けてるフランスの漫画家メビウスが担当)や海底基地の内部デザインがそっくり。だが単にパクった感じではなくアレンジが絶妙で素直にセンスが良くパクリでもネガティブな感情は受けなかった。寧ろ愛を感じた。
あと特筆すべきなのは物語の展開の速さ。大抵の作品は事のあらましを冒頭でダラダラ描いて何か起きるまでが長く退屈なパターンが多い、しかし本作は違う!分かってるね。

そして肝心なクリーチャーデザインだがこれも良い!初めコイツ、デザイン嫌いじゃないけどややパンチ不足じゃね?と一抹の不安を感じたが、ちゃんと居ましたよ!ラスボスが!
ラブクラフトのアレを彷彿させる感じに加え、見た目の凶暴さの中にもカッコ良さもあり久しぶりにセンス秀逸なクリーチャーを見せてもらった。ネットで探せば全体像も確認出来るのかも知れないが全体像もぜひ見てみたい。
本作品について詳しく調べてないがクリーチャーデザイナーはチェックしておこうと思う。

本作は世間的な評価はあまり振るわず、制作費分も回収できなかった様だがsci-fiホラーファンには強くおすすめできると思う。
自分的に惜しむらくは主演のクリステン・スチュワートがあまりタイプでは無いので大好きなエリザベス・オルセンあたりが演じてくれてたらもっとお気に入りの作品になっていただろうな。
あ、でも坊主は無しでお願いします。
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