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アトミック・ブロンドのdeenityのレビュー・感想・評価

アトミック・ブロンド(2017年製作の映画)
4.5
当初見る予定ではなかったが時間が出来たので鑑賞。予期せぬ良作に驚いた。アクション映画であるのに相違ないのだが、そこにスパイ映画であるという要素も合わさって複雑な構成にさせ、オチにまで工夫を凝らす。
舞台は1989年ベルリンの壁崩壊当時のドイツ。スパイ映画とかこの時代の歴史的背景とか正直詳しくないからたぶん本作を楽しむための深みは全て理解できているわけではない。というか本当はややこしくてごちゃごちゃするから苦手な部類なのだが、本作の構成が私の大好きな『ユージュアル・サスペクツ』の展開と重なっていて、おかげでややこしくなりがちの構図も素直にストーリー展開をつかむことができた。

シャーリーズ・セロン演じるロレーンは取り調べを受ける所から始める。身体中の痣、氷たっぷりの水風呂から浮き上がってくる、色調の暗さ等、ロレーンがどれだけ大変な目に遭ったのか想像に難くない。
本作ではシャーリーズ・セロンの素晴らしいアクションシーンが見所であることは知っていたが、その冒頭のインパクトもあったが、まさかあそこまでこだわったアクションシーンとは。素直に興奮した。ガンアクションだけならまだしも、肉弾戦も当然生じ、圧倒的に力では不利な所でも怯まず立ち向かう。スピードや小道具を駆使して的確に急所を突く。小道具は小道具でもホースというのは印象的。圧倒的にボコボコにしていくのでは当然リアリティに欠く。ただほとんどのシーンをシャーリーズ・セロン自身が実演しているとは思えないほどにアクションシーンに力がある。殊に長回しのシーンはいろんな意味で力が入った。

もちろんアクションだけの作品ならばここまで評価はしない。スパイ映画的な構成も素晴らしい。
そして全体のデザイン性も優れていて、色調はモノトーンだったりネオンだったりを使い分けて明暗がはっきりとし、バックに流れるミュージックはちょっとパンクで絶妙にマッチしたチョイスに思える。

もっともっと時代背景を踏まえて見直したい。登場人物や国など、分かりづらかった部分も明確にしたい。何度も見直して楽しみたい、また、そうさせることを苦にも感じないほどの素晴らしい作品だと思う。