このレビューはネタバレを含みます
フランス映画ということで、普段耳馴染みのない言語を爽やかに聴き続けられて良かったです。
無理な展開が少しだけ目立った気がするのですが、それ以外はずっと、父娘の関係の温かさをひたすら丁寧に描いてくれていて柔らかい映画でした。
グロリアのお母さんが絶対どこかで観たことある!と思って調べてみたら、bird songと炎のゴブレットに出演されていた。びっくり。
今回はちょっと痛々しい役でしたが、それでも娘を愛しているんだという熱量の高い演技にこちらまで苦しくなる。
娘を愛していることと一人で育て切ることがイコールで結びつかなかった母親も理解できる。
でもまったく知らない赤ん坊を娘だと手渡されることとそのために一人で育て切ることをイコールで結びつけることができた父親がいたことも事実なんですよね。
グロリアが生まれた頃に誰かが誰かにもう少しずつ優しくなれていたら違った未来があったのかもしれないけど、そうなっていたらサミュエルとグロリアはあそこまで絆を深めていなかっただろうな。そもそも血縁はなかったのだし。
難しいな。これぞヒューマンドラマという感じがする。
人間って複雑。だから面白いけど。
その難解さやある意味での人生の面倒臭さを、フランスとイギリスのやわく生温い風で包んで与えてくれる作品。