まーしー

孤狼の血のまーしーのレビュー・感想・評価

孤狼の血(2018年製作の映画)
3.5
昭和63年の広島県を舞台に、暴力団の抗争とその暴力団を追い詰める刑事を描いた作品。

主人公は型破りなベテラン刑事と正義感の強い新米刑事。しかし、よくあるバディムービーではない。
本作は、警察とヤクザそれぞれが各々の立場と正義でぶつかり合う、骨太な任侠映画だ。

まず、登場人物のキャラが濃い。その登場人物の口から次々に発せられる罵声や怒声。
さらに、養豚場で口に糞を入れられる拷問シーンに代表されるようなバイオレンス描写、ゴア描写の数々。
内容、映像いずれを取ってもインパクトが大きい。

そこに加わる俳優陣の熱演。
ベテラン刑事の大上を演じた役所広司はさすがの存在感。新米刑事の日岡を演じた松坂桃李もそれに引けを取らない。
ヤクザ側では、尾谷組の若頭・一ノ瀬を演じた江口洋介が格好良かった。

ベテラン刑事の大上に向けられる疑惑の目、新米刑事の日岡の変貌ぶりなど、ストーリーそのものにも見どころも多い。
また、終盤に向けて驚きの展開が続くため、最後まで気を抜くことができない。
警察とヤクザの抗争を描きつつも、熱き漢たちのドラマを丁寧に描いた良作と言えるだろう。

登場人物が多いため、人間関係の理解が十分に追い付かなかったところが個人的には残念。
それでも今までヤクザ映画を観てこなかっただけに、本作で受けた衝撃は大きい。