このレビューはネタバレを含みます
俺のなかでMVPは豚小屋のせがれ。
特に、本作一番の名シーンである松坂桃李の覚醒シーンで大分ええ仕事してた。
小者チンピラの分際でイキリまくっては観客に、こいつムカつくな、と思わせる見事な小悪党っぷりと、
そうして溜まったヘイトを、その直後に一瞬にして解消させる見事なボコられっぷり。
ジメジメと鬱屈したシーンが多い中、やっと胸がスッとした。あのシーンで。
そんな感じで、全体的にヤクザたちのやられっぷりが楽しい映画やと思う。
演出的にもそこに力入ってる気がする。
ラスボス石橋蓮司のやられ方も良かった。
首切り落とされて小便器に投げ入れられるっていう、トイレの芳香ボールみたいな扱われ方は笑った。
グッズとかで売らへんかな?石橋蓮司の顔のデザインの芳香ボール。
それに較べて竹野内豊の演じる、堅気に手を上げる器の小さい若頭は、割と大人しめの退場で残念やった。
もっとシュワちゃんにブッ殺される時のコマンドーのザコ敵みたいに、面白い死に方すると思ってたんやけど。
なんか、いつの間にか居なくなってて、物足りなかった。
松坂桃李の演じる新米巡査、日岡の葛藤はちょっと浅い。ていうか、ひとの話をちゃんと聞いてるのか?
大上の行動をあんだけ間近で見ているのに、なぜアレで「大上は私利私欲で動いてるだけ」と思えるのかが分からん。
あんだけ体張って抗争止めようとしてるのに。
大上の綱渡りの話を聞いてなかったのか?
ピエール瀧から「大上さんにとってヤクザは駒のひとつに過ぎない」とか、真木よう子から「大上さんが気に掛けてるのは堅気の人たちの事だけ」とか聞かされる前から、いやいやそんなん分かってましたよ、って客は思うだろう。
分かってなかったの日岡だけ。
「大いなる善のためになら悪を行うことが許されるのか?」みたいな論調の映画のはずなのに、
日岡だけ「大上は善人か悪人か?」の段階で思考が止まっちゃってる感じ。なんか遅れてる。
そこがちょい、イライラさせられる。
真木よう子の店、いつ行ってもヤクザおるな。。死んでも行きたくないわ、あんな店。