シネマスナイパーF

ファースト・マンのシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

ファースト・マン(2018年製作の映画)
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First victimが月面に降り立つFirst manとなった
「行って帰る『前』」の話
バズ・オルドリンは畜生、なのかなと思ってしまうよ


セッション、ラ・ラ・ランドよりは薄いものの、やはり、ひとりの男の内側に特化した物語として完成させてきました、が、扱っている人物が人物なだけに、チャゼル監督作品の中では万人に開かれたものでもありました
寡黙で繊細な男を演らせたらライアン・ゴズリングの右に出る者は少ないよ
今作の彼はドライヴのあいつに近いかな

客観的な事実による「危険なミッション」を、ニール・アームストロングを筆頭とする当事者たちの主観的な「大丈夫なのかコレ」という不安たっぷりに描いている
狭い空間から決して出ないカメラは、これでもかと激しく揺れ、しつこいぐらいに映されるネジは、今日だからこそ感じる技術の古さが見える

次から次へと近くの人を失っていくアームストロングのヒューマンドラマとして、家族や友人との絡みがホームビデオ風に切り取られている
家で待つのみの奥さん方の苦悩もしっかりと描かれている

オープニングで冷静沈着なパイロットとしてのアームストロングを緊迫感たっぷりに見せた後、この男は涙を流す普通の人間だということを見せていて、初めから、偉人として謎の多い男の知られざる人間味溢れる物語であることが表されているので、だからこそ、クライマックスの月での行動に泣かされる
寡黙で冷静だと言われていた彼も、仲間と笑い、時には怒っていたんだ


2001年オマージュかな?みたいなシーンもあり
全てが高水準な一本
地球上でのフィルムの質感溢れる映像と、月面でのIMAXカメラでのバキバキの映像の対比が気持ちいい
文句なし