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ファースト・マンのskm818のレビュー・感想・評価

ファースト・マン(2018年製作の映画)
4.0
人類最初の月面着陸者ニール・アームストロングを主人公とした月面着陸に至るまでを描いた話なんだけど、プロジェクト成功ものにつきものの前向きな華やかさというのはほとんどなくて、主人公の内面に目が向けられた、繊細で静かな話になっている。もちろんアポロ計画に至るまでの訓練や宇宙での機器操作などの場面も多いけど、一貫して描かれているのは主人公が目にせざるを得なかったたくさんの死なんだよね。アームストロング船長には幼くして病気で亡くなった娘がいるらしく、彼女の姿は常に彼の中にある。宇宙飛行士を目指すことを決めたのも娘の死がきっかけ。そして月で、彼は娘の形見のブレスレットを手放す。そこで娘を弔ったんだよな。月まで娘を連れて行く。多分訓練途上で亡くなった親しい同僚の魂も連れて行ったのではないか。そんな風に思えるような展開。妻も単にこの人が結婚してたから出てきているという風ではなく、家庭生活の場面もそれなりに多い。最後は着陸後検疫のために隔離されてた主人公に妻が面会に来て、面会室の窓越しに二人が無言で指を触れ合わせる、そこで終わっている。生きててよかったと思ったのか、もっと別のことを思っていたのかわかんないけど、ありがちの、その後彼らはどうなったという字幕もなく、不思議に静かな映画だった。
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