ウサミ

勝手にふるえてろのウサミのレビュー・感想・評価

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)
4.1
松岡茉優という俳優に魅せられる2時間 妄想女の脳内劇


日本人の恋愛映画ですね、これ。

煩わしくて、内向きで、陰気!
それでいてひたむきで、もどかしくて、奥ゆかしい!

ステキな恋愛ドリームだけを見させてくれないからこそ、この映画は面白い。


もちろん松岡茉優はとびきりの美人です。
現実の世界では、これほどの美人が男に相手されないことは、まぁないと思う。
しかし、顔はそんな悪くないのに、中身が暗いせいかあまり男に相手にされない、人付き合いもうまくないような絶妙な女性像を、見事に演じきっていました。ワードセンス、仕草、表情、演出、すごく見事に噛み合っていました。
絶妙に空気読めない感じとか、なんかハスに構えてるのが滲み出てる感じというか、あぁいう子いるなーとか。


めちゃくちゃ浅い感想を言うと、大学2、3年くらいの女の子が好きそう。
ちょうど、ティーン向け青春青空映画をバカにしたいくらいの年頃の女子にこれを勧めたい。

とはいえ、これは若い女の子に向けただけの映画ではない。

別に、僕は好きじゃないです、ヨシカ。
でも、この映画に、この女の子に、自己を投影せざるを得ない。共感せざるを得ないんです。男なのに。

根暗で、卑屈で、お人好しで、一途で、単純で…
まだまだズラッと並べられるほどの「共感」ポイント。
それは時にヨシカに、時に"イチ"に、時に"ニ"に。


この映画を大好きになれるのは、この映画が自分そのものだから、じゃないだろうか?
この映画を好きになれないのは、この映画が自分そのものだから、じゃないだろうか?

誰しも自分のことが好きであり、同時に嫌いである。
時に他人を見下し、そしてまた時に他人を羨む。

主人公のことが好きでもないのに、時に応援し共感してしまう。
ヨシカはまるで自分そのもので、彼女の目によって浮き彫りになる他人の浅さと深さ、自分の弱さと強さ。
自意識過剰で自己愛が強くて自分が正しいと信じ込んでてそのくせ孤独が嫌い。自己矛盾だらけの精神世界。

あぁもうだれか助けてー!!!

その感覚が、限りなくリアルに近い気がしてならなかった。


人間の行動や心情なんてのはブレブレだ。なぜなら、人間ってそんなに簡単な生き物じゃないから。
あっちをみたりこっちをみたり。
そして時に焦点の外から一点を見つめてみたり。
コロコロコロコロ転がる心、それすらも愛おしい。