ベルサイユ製麺

ハートストーンのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

ハートストーン(2016年製作の映画)
5.0
監督、グズムンドゥル・アルナル・グズムンドソン…。Shazamを立ち上げてその名を呟くと、いくつかトライバルな楽曲が見つかりそうなくらいに音楽的な響きを持つ名前です。
と、書き出しだけふざけてみました。

ネタバレ云々では無く、何にも書けません。気力が湧かない。
映画と対峙して、ここまで打ちのめされたのは初めてです。まるで、爪の短い猛獣に揉みくちゃにされ続けたみたいな気分で、自分は殆ど赤黒い肉の塊にされてしまった。
観なければ良かったとは思いませんが、精神に強く作用してしまい、更に具合が悪くなってしまったようです。覚悟が足りなかった。

登場人物は全て自分で、傷付くのも傷つけるのも自分。ラスト手前、やるかたなく駆け出す主人公の背中は自分の今の背中。そうとしか思えなかった。そして続くラストシーン。それでも泳げと言うのか…。

ここまでの人生は、よく見積もっても最悪で、この後もそれは続いていく。敢えて考えないようにしていたけれど。

レビューとしては何の機能もしていないですね。本当に何も書けません。人によってはそのぐらい劇的に作用してしまう作品なのだ、という事だけは伝わるかもしれません。
冒頭の数分を見るだけで、作品の尋常で無くピリついた空気感は伝わってくると思います。「これはやばそうだ」と感じたら、覚悟を決めるか、観るのを止めるか。何も感じなければ、敢えて観る必要は無いと思います。


「木の中に座ってマーマレードを編んでいた牛が空飛ぶゾウを見て言った“これで全部 見た”」
劇中で主人公の少年が(訳もわからず)語るジョークです。意味は判然とはしないけれど、今はちょうどそんな気分です。