ジョーゼフ・キャンベルの言う典型的な通過儀礼「死と再生」が物語の軸。
ボルデモートの復活始まり、ハリーの復活に終わる。
前作まで周囲に「俺は選ばれし者だから」と語るハリーは、なんて嫌なやつなんだと思ったものの、「選ばれし者」が、リリーの愛をきっかけに結果的にそうなっただけだとわかるのがとてもいい。
ダンブルドアの黒い過去が明かされるのも好き。
ホグワーツ城にハリーが帰還した瞬間、テーマソングがダーンと流れるシーンは思わず鳥肌がたった。カタルシス!
今まで実力を隠されてきたマクゴナガルの本気、明かされるセブルスの秘密、ネビルの大活躍、小物・マルフォイの人間味、魔法大合戦など見応えがある。
スペクタクル戦争映画にありがちな鎧の武者がホグワーツを攻めるのではなく、浮浪者のような汚い身なりの男たちが棒を持って襲ってくるのは、笑った。
ハリーが自身の業に向き合う。ハリーがいるから、ボルデモートは存在できる。死や選ばれし者という虚栄と向き合う。
純血主義vs多様主義は、ナチスドイツとのバトルオブブリテンのメタファーか。
イギリスが純血を国是とする国に負けなかったのは、国民のアイデンティティになっているのだろう。
結婚式のシーンは、ロンドン空襲の際に、劇場や酒場を閉めなかった話を思い出した。
改めて、あの文量のお話をこうして映画としてまとめられたことは奇跡に近い。関係者の皆様ありがとうございました。
次作セブルス・スネイプ編待ってます!