洋画好きのえび

ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2の洋画好きのえびのレビュー・感想・評価

4.3
本作のキャッチコピーは「これが、最後」。「賢者の石」から10年が経ち、本作を劇場に観に行った時はもう大学生になっていた。本当に長かったけど、それだけ力を込めて制作された一大ファンタジー映画だったなぁと改めて思う。

本作のヒーローは誰が何と言おうと、スネイプしかいない。最後の最後に明かされるスネイプの過去、スネイプの思い、スネイプの覚悟と強靭な意志… 誰にも真実を明かさず、最後の望みがハリーのあの瞳で自分を見てもらうこと… アラン・リックマンの名演技も相まって、あのシーンでは一緒に観に行ったスネイプファンの友人としみじみ泣いた。スネイプとダンブルドアの会話の中で、「これほどの時が経ってもか?」「永遠に」というやり取りがある。有名な話だけれども、これ、原語版では"forever"ではなく"always"と書かれているのだ。always=いつも、どんな時でも。これをアランの声で聞きたくて、字幕版を観に行ったのは良い思い出。英語が理解できると、映画の台詞の理解度も上がるんだなぁと実感した良い経験だった。今観ると、アランが亡くなったこともあって余計に泣きそうになる。
また、生に固執するヴォルデモートと、大切な人たちのために、そしてヴォルデモートを倒すために命を投げ打つハリーとの差を対比した描き方も良い。ヴォルデモートが戦うのは自分のためだけれども、ハリーが戦うのは今を生きる大切な人たちのため、そして、自分のために命を投げ出してくれた今は亡き大切な人たちのため。そんな人物像の差を演技で表現しているレイフ・ファインズとダニエル・ラドクリフの二人に、ストーリーとは別のところで感動した。
そして、圧巻のホグワーツ大決戦。普段は魔法の授業でしかその技を見せないホグワーツ教授陣による戦闘はもちろん、ネビルの予想外の活躍や、最後のハリーとヴォルデモートの一騎打ちと見所は盛りだくさん。アバダケダブラvsエクスペリアームスのシーンはファンタジー映画史に残る名戦闘シーンだと思う。

正直、同じ頃に製作された「ロード・オブ・ザ・リング」を含めて、ここまでキャストや脚本、シリーズ構成に優れたファンタジー映画は二度と出てこないのではないかと思っている。ハリポタシリーズをリアタイしていない子供たちのためにも、定期的に金ローや午後ロードといった地上波で放送してもらいたい。