ぬーたん

しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイスのぬーたんのレビュー・感想・評価

4.5
777!
素晴らしい。とにかく素晴らしかった。
実在の画家、モード・ルイスを描く。
モードを演じたのはサリー・ホーキンス。
両親が絵本作家・イラストレーター。
役作りのために絵画クラスに通ったという。
線が細く足も細く、でも情熱が伝わって来る演技は『シェイプ・オブ・ウォーター』と同じく圧倒される。
エベレット役はイーサン・ホーク。
イーサン、年取る毎に魅力を増していく。
渋くてかっこいい。
この2人が演じて良くないはずはない。
最初はモードの障害の具合もよく分からないし、家族とエベレットの仕打ちに腹が立って観るのも辛かった。
でも、ポストカードの辺りから、もう胸が締め付けられて、泣けて、じんわりと心に響いて来る。
絵は、色が綺麗で、お花や動物などを描きシンプルな飽きない作品だ。
実際の家に描かれた絵も可愛らしく、画家としての才能があるというよりは、心を癒してくれる、優しくて温かい絵だと思う。
イーサンは冴えない男の役だが、髭を剃り、スーツをピシッと着た姿は、普段とのギャップもあって、とにかくカッコ良くて、惚れ惚れする。
そのイーサンに『40キロの情熱』と言わしめたサリーは、細くて可愛らしく、情熱と生きる力に溢れている。
たった2時間の作品で2人の長い人生を描くから駆け足だが、自然に感じる老け方と弱り方で、時の経つ流れに違和感なかった。
絵が売れても有名になっても、変わらぬ生活を続けた夫婦。
生きること。幸せ。支え合うこと。
たとえ、周囲の誰からも見放され、孤独な気持ちでいっぱいでも、たったひとり傍に居てくれる人が居れば。
出会いと運命。引き合う力も感じた。
モード本人は可愛らしい顔で、とても小さい人。
背中が曲がっているが、ニコニコした表情が素敵だった。
そして、チラリと映ったエベレットも人の良さそうな感じだ。
大袈裟でなく、サラリとした最後も良かったな。
しかし、この邦題が長くて、興ざめだ。
いつもながら、センスないよね。

☆777レビュー!って今気がついた。良い作品に出会えてラッキー!
ぬーたん

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