ちょこばなな

ポリーナ、私を踊るのちょこばななのレビュー・感想・評価

ポリーナ、私を踊る(2016年製作の映画)
3.0
いろんなダンスから、身体が紡ぐ音楽の優美さを堪能出来る
顔の表情だけでも難しいのに、体だけで感情表現することの難しさたるや
その反面体か壊れてもいくらでも代わりがいる儚い世界

コンテンポラリーとバレエの違いも分からないのにクラシックバレエとモダンバレエの違いなんて分かるか笑
周りに合わせないと美を生み出せ無いなんて、与えられた振りを振付師の望むようにただ踊るなんてつまらないよな

踊りが苦痛な私には見られない世界がポリーナにはあって、羨ましく思えた

好きなことならオフを犠牲にしてでも能力を高めたいと思える気持ちに少し共感出来るようになったのは進歩
自分を諦めず、葛藤の中で自分がしたい踊りを見つけて自らのポテンシャルで生きようとする姿、怒られても何も無くなっても大声で泣かない強さが美しかった
彼女の強さに魅了されて自分も強くなったと錯覚した笑

自力で進まなきゃ何も掴めない
すべきこと以外のことに囚われず、のめり込むことでようやく何かが生まれるのかもしれない

親が頑張って稼いだんだからそれに報いるべきと言う言葉を所々で目にしたけど、それを言えるのは子供を安全な環境で育てられる親だけだ
家庭すら守れないのに娘の夢を勝手に描き、縛り付ける親はみっともなくて怒りを感じた
父親は必死で働いてるのに娘はバーでバイトか、などと仕送りを送ってる訳でもないのに言う資格なんて無い
彼女の境遇もまた、自由な表現を求める方向にはしったきっかけかな

彼女がダンスで表現した動物はトナカイ?
父と狩りに行った時には座り込んでいたトナカイが、エンディングではしっかりと立ち、存在感を見せていたのが印象的

ただ無言表現が多いのと、ダンスシーンに加工があった点、髪の毛で踊っている時の表情がよく見えないのが少し残念
もう少し表現力を感じたくはあったが、型にはまった美に息苦しさを感じるバレエと違い、コンテンポラリーは見る者に余裕を与えてくれる流れるような美しさがあって、目が離せなかった
受動的な習い事から、表現を操って仕事にする未来が見えた