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坂道のアポロンの会社員のレビュー・感想・評価

坂道のアポロン(2017年製作の映画)
3.0
ジャズをテーマにした青春劇。

アニメでは、ピアノに松永貴志氏、ドラムに石若駿氏という、日本のジャズ界が誇る実力派若手ミュージシャンを起用したことで、ジャズに慣れ親しんだ人々からも支持され話題になった。
自分もアニメ鑑賞時、石若氏の激しくも繊細で、かつユニークなアプローチには舌を巻いた。

今回約10ヶ月にも及ぶ猛特訓の末、主人公二人を演じる、知念侑李と中川大志が生演奏したものの、やはり音楽を多少なりともかじった者にとっては、演技よりも演奏が気になってしまうのではないだろうか。ディーンフジオカはさすが音楽に造詣があるだけに、トランペット未経験とは思えない腕前だった。

しかし、演奏面を抜きにすれば、中川大志の演技が素晴らしい。当初はキャスティングに違和感があったが、いざ始まると表情、仕草、見事に千太郎を演じきっていた。

長い長いストーリーを全て一本の映画に詰め込んだため、恐らく最も力が入っているであろう文化祭のシーンをピークに、終盤の演出はやや盛り上がりに欠けてしまった。
特にラストシーンは、言葉を介さなくとも音楽を通じて気持ちは伝わる、この作品はそういったジャズの魅力を伝えたかったのではないかと残念に思う。
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