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検察側の罪人のしおえもんGoGoのレビュー・感想・評価

検察側の罪人(2018年製作の映画)
1.8
これは原作を読んでる人(好きな人)と読んでない人で大きく評価が分かれそう。私は読んでいるのでどうしても辛くなってしまう。

二宮和也、松重豊、酒向芳の演技はとても良かった。

でも原作が無かったとしても残念な点が多い。まず絵的な雑音が多過ぎる。
例えば要所要所に出てくるダンサーとか、八嶋智人の事務所とか、ニノのベッドシーンの吉高由里子の足とか。「葬式のダンサーは何?幻覚?新興宗教?」「え?あれ足?何で?死体?」と気を取られているうちに台詞を聞き逃す。何かのメタファーにしたいのか、面白い絵にしたかったのか分からないけど、邪魔な違和感にしかなってない。

また原作を読んだ身からすると、白骨街道関連が全部邪魔。

この原作は「正義とは何か」とか「法律の限界」とか「検察が正義を恣意的に運用する怖さ」なんかを問うものだと思うし、そこから先の政治の話は読者が自分で発想を広げるものだと思う。
監督の問題意識なのか分からないけど、無理やり突っ込んでしまったために、全体的に尺が足りなくて後半説明不足になってみたり、ラストを大幅に変えてしまったり、ニノの絶叫だけは原作通りだから意味不明だったりと全体的に無理が出ている。

キムタクはやっぱりキムタクだった。それは演技の問題ではなく、検察官という公務員役であってもどうしてもダンディハウス的カッコよさを捨てられないところ。ポケットに手を突っ込んで新人研修の檀上に上がってしまうところ。ピッチピチの白シャツを着てしまうところだと思う。
オープニングの木村拓哉ドーン、二宮和也ドーンというテロップを見ても、社会派の重厚な作品を作ろうとしたにもかかわらず、結局2大アイドル共演という集客力を手放せない中途半端さが残念だった。
ニノの薄笑いを浮かべた取り調べシーンの小憎らしさが良かっただけに、キムタクもアイドルではなく、役者としてやらせてあげて欲しかった。

後、やたらと女性が言葉を荒げて罵倒するシーンが多いのだけど、これは監督のご趣味なのでしょうか?
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