「ごめんあそばせ、宮廷では良心は不用品よ。」
18世紀初頭のイングランド。病気がちのアン女王に代わり、幼馴染でありながら世話役のレディ・サラが国内の権力を掌握していた。そこに、没落貴族の娘アビゲイルがサラの縁故を頼ってやってくる。
『哀れなるものたち』に向けての予習。
わがままで、お構いなしで、でも1人では生きていけない女王と、そのわがままの矛先を我が物に、甘い汁をすすってきた側近。「頼れるのは自分だけ」その事実を絶対的な自信とし、富や権力を手中に収め続けてきた。そんな感じで上手くやってきたのに、急に汚ったない小娘がやってきたと思ったら、なんかいい感じに好かれてるんですけど、、、女王の隣に居られるのはあたしだけなんですけど、、、ふっざけんじゃないわよおぉ!な作品。
いくらいいお家に住んでも、煌びやかなお召し物でも、この人たちが一番人間臭いじゃあないか。都合のつく愛に飢えるもの、焦燥感の中愛に素直になれないもの、媚びへつらい手に入れた愛に疑問を抱くもの。醜いながらも人間らしい3人の女の“欲”と“喪失”の物語。