バナバナ

ナチュラルウーマンのバナバナのレビュー・感想・評価

ナチュラルウーマン(2017年製作の映画)
4.0
トランスジェンダーのマリーナはだいぶ年上のオルランドと、彼のアパートで同棲している。
マリーナの誕生日にレストランで食事し、幸せいっぱいだった一日が終わった時、オルランドの体調が急変し、亡くなってしまう。

ここで大きな問題が。
オルランドは妻と別居中の身で、まだ正式に離婚していなかったのだ。
肉体的には男性であるマリーナは、オルランドが搬送された病院、警察、彼の家族から迫害を受けるのだった…。

“迫害”と書きましたが、これ、全部、今の日本でも普通に起こりそうな出来事でした。
警察の取り調べは、オルランドの直接の死因は事故かもしれないので、相手が偏見ありありでも、もう少し警察に協力しないといけなかったんじゃない?と思ったし、
妻との対決でも、マリーナは妻を尊重して「奥様…」などと丁寧に応対していたけれど、不倫、略奪された妻の立場からすると、
“あたしゃ旦那を女じゃなくて男に盗られたの!?”と思うと、
余計に複雑で、あんなにキツイ言動になってしまうのも分かる様な…。

また、オルランドの最初の妻の子?である息子も、
やはり、アメリカ映画『人生はビギナーズ』のマイク・ミルズの様には父の人生を受け入れられず、マリーナに当たりまくる姿も、
もし、日本で同様の状況の人が居たら、似たり寄ったりの態度になっちゃうかな、と思ってしまう自分がいました。

劇中で、マリーナが強風の中を体を斜めにしてゆっくり進む姿は、
比喩的表現が直接的過ぎて笑いそうになりましたが、
結局、幾ら最近のテレビで女装家やトランスジェンダーの人をよく見かけ様とも、まだまだ日本社会も、チリと五十歩百歩なのだと思いました。

マリーナ目線で彼女の気持ちを丁寧に描いていたので、自分自身に反省しました。
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