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血を吸う粘土の消費者のネタバレレビュー・内容・結末

血を吸う粘土(2017年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

東京の美大を目指し田舎の芸術予備校に通う浪人生達がかつてその建物をアトリエとして使っていた売れない芸術家、三田塚の血を混ぜて作られた粘土彫刻、かかめと奇病にかかった彼の骨と混じり合った粘土によって次々に喰い殺されていくという独特なスラッシャーホラー作品

低予算な邦画でありほぼワンシチュエーションという事もあってそこまで期待していなかったのだが良い意味で予想を裏切られた
売れない芸術家の怨念のこもった彫刻と粘土が生徒達を手にかけていく様の描写が何とも言えない不気味さがあって惹き込まれた
粘土が人間を飲み込み取り込まれた者達も粘土の化け物と化していくのもゾンビ的で面白く粘土と混じり合った人間のビジュアルがちゃんと気持ち悪くて良い

そして彫刻、かかめが残された者達を襲う場面の演出も素晴らしい
低予算という事もあってだろうがVFXを使わずストップモーションで動きが表現されていたのが何とも言えないおどろおどろしさを生み出していて伽椰子や貞子を思わせるぎこちない動き方も恐ろしかった
火で固めて砕けば一時的にではあるが封じられる、という粘土の特性を活かした設定も効果的に働いていて水がかかると復活してしまうというのも終わりの無さの表現として秀逸
芸術家として大成出来ない事から三田塚の怨念を継いだかの様に生き残った講師と生徒2人が粘土の箱を東京の芸術予備校の前に置いて去っていく終盤の場面もどろどろしてて続編への期待を持たせてくれる
ラストに雨によってか濡れた事でかかめが復活してしまう場面も複数の人間を取り込んで芋虫の様な姿になったかかめが異形らしい醜さになってて良い描写
取り込まれた人間達の顔が声を上げていたのも良い

残念だった点としては明らかに世界観に合っていない劇伴とかかめが復活してからの街の崩壊の描写の2つが挙げられる
特に劇伴に関してはせっかくジトッとしたJホラーらしい気持ち悪さがしっかりと演出出来ていてゴア描写も割と良かっただけにその良さを邪魔していたと思う
そして街の崩壊にしても粘土ゆえのノロノロとした襲い掛かり方がそれまでずっと貫かれていたのを台無しにしてしまっていた

ただこの2点以外は概ね良かったので続編にも期待したい
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