deenity

パーフェクト・レボリューションのdeenityのレビュー・感想・評価

4.5
正直そこまで関心のある作品ではありませんでした。予告編を見るまでは。
「な、何!?銀杏の『BABY BABY』が使われているだと!?」決め手はこれだけです。大好きな曲だからです。銀杏は一通り聴いてきました。だからそこそこ好きなのですが、殊にこの曲に関しては他の曲とは一線を画するのです。よく友達とハモりながら歌います。いい歳こいて熱唱できる、そんな曲なんです。

これは勝手な偏見ですが、銀杏やゴイステってバンドは一部の層に、それも高校生辺りにハマる人が多い気がします。自分も高校生の頃でした。個人的にはイニシエーションとも考えられます。大人とか社会とか、そういう現実の中で真っ直ぐな思いを代弁してくれているバンドだと思います。
だからこの曲をチョイスするということはそれくらい突き抜けた作品でもいいと、むしろそうでなくてはいけないんです。

本作はリリー・フランキー演じる身体障害者のクマピーと清野菜名演じる人格障害者のミツの繰り広げる恋愛物語です。
冒頭の感じでわかります。無機質な広間、スーツ姿の人々が行き交う中、すれ違う二人の姿の鮮やかなこと。冒頭のワンシーンで普通じゃない作品であることを予感させます。
革命のためとか言ってますが、二人が惹かれ合う理由なんてどうでもいいんです。この二人がどう突き抜けていくかが見たいんです。

ただ当然周囲の目は厳しいわけですね。象徴的なのがクマピーの親族と顔を合わせたシーン。結婚してほしいと喜ぶ母の姿は正直素直なのか、それともしがらみから解放される安堵からなのかわかりません。ずっと我慢してきた兄がいて、それを支えた嫁がいる。叔父さん叔母さんの言うことも三者三様だが、どれも世間の声として最もだ。今まで関わってきたからこそ、あの場で言うのは優しさか、皮肉か。それは一概には言えないけれど、障害者という人を普通の目で見るということ、これは求められることのようで非常に難しい現実です。だって最も親しく面倒を見たえりさんですらそうなのだから。障害者だから諦めなければいけない。考えなければならない。この考えは平等のようで平等じゃない。平等ということに関して不要のようで必要、というか欠くことができないのだと思う。
でもそれに真っ向から対立するのがミツであり、「なぜ障害者だから無理なの?」と問う姿は優しさのようで世間知らずでもある。つまり子どもなのだ。夢があって、自分はダサい大人になりたくなくて、抗って、だけど現実は厳しくて。そんな彼女が大人になっていくことは必要なんだけど悔しくて切なくて。。

だから銀杏なのだ。突き抜ければいい。映画の中くらい。現実にだってたまにはあってもいい。もっともっと突き抜けろ。もっともっとこの映画も突き抜けて欲しかった。惜しい。でもそれでも気持ちのいいラストでよかった。銀杏ともベストマッチ!良かった!
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