Aya

ラッカは静かに虐殺されているのAyaのレビュー・感想・評価

3.5
これレイテイング付いてないの?
いやーちょっと映像の衝撃がかなり強いですね・・・。

※注意
これから見られる方はモザイクなしの切断遺体や、磔にされて引きづり回されたり、放置されて生きてるのか死んでるのかもはやわからない人、血、そして、人が殺される瞬間がモロに出てくるので、気をつけてください。

何度開いた口が塞がらなかったか・・・。

シリアのラッカ。
私はラッカって人の名前かなんかかと思ってましたし、このRBSS(Raqqa is Being Slaughtered Silently)の活動も存在も全く存じ上げていなかったのがお恥ずかしい。

シリアといえば「それでも僕は帰る」を見たので、街の状況がボロボロなのは知ってたけど・・・。

アラブの春、打倒アサド政権などの民衆運動が起こり彼らの訴える「自由」が手に入るかと思ったのに・・・なんと、この映画のタイトルになっているラッカというトルコの近くなんですけど、今最も過激で勢いのあると言って良いIS(イスラム国)の本拠地にされていたなんて・・・。

民衆が力を合わせ、一つの大きな勢力を倒したと思ったら、新たな勢力に支配される・・・どういう地獄ですか?

しかも厄介なのはみんなが「神」という心の支えが共通してるところ。
でもその神の解釈が違い、やることが違ってくる。

この映画に出てくるRBSSの人々はマスコミ報道されない、されにくいラッカの現状を世界中に発信し、なんとかしようと思い、行動する。

ISが掲げるような理想の国には程遠く、民衆は飢え、物資は不足し、流れてくる金は武器に使われる。
民衆が貧しいが故、子供達は貧困のドン底で、親から到底買ってもらえないようなゲームやお菓子を与え、ISに憧れを抱かせ取り込み、少年兵として仕立て上げる(ゲッ、ゲルカ兵・・・)。

もちろんRBSSの活動はIS的には目障り極まりない。
繰り返される殺害予告、疑いをかけられるだけで射殺。家族も皆殺し。
当たり前ですが、非常に危険な、死と隣合わせの行為です。

主に現地で情報を調達し、外国組に動画や状況を伝える組。
そして外国でそれを世界へ発信したり、スポークスマンとして色々な場で実際に語る人もいます。

ちなみにこのスポークスマンの人、英語ができるから、という理由で抜擢されたとのことですが、あんま英語うまくないんですねw
てか、どんな頭良さそうな人の講演会に行っても、華やかに讃えられるパーティーに行っても、終始ものすっごい追い詰められた顔をしてるんですよ。

わかりやすく、彼が震える姿をカメラ写すシーンもあるのですが、いや、ヤバかった・・・。
ここまで追い詰められてる人を助けてあげれる方法は何かないのかな。

現地組も外国組もめちゃくちゃ危険です。
ISの兵士は中東の人だけじゃないじゃないですか?
最初、外国組はトルコに逃げるのですが、そこでも銃殺事件が起こり、ドイツへ行きます。
NPOの支援を受け、有り体なんとか落ち着けるものの、ドイツで始まる難民排斥運動・・・もう彼らの居場所が!世界中にもないのかよ!!!

これは本当に今まで知らなかったのが恥ずかしいし、できるだけ多くの人に知ってもらいたいと思った。

日本語タイトルいいですよね。そのまま、っていう。啓蒙にもなるし。
「されている」って現在進行形きっつー


日本語字幕:今井 朗子
Aya

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