カルダモン

ザ・スーサイド・スクワッド "極"悪党、集結のカルダモンのレビュー・感想・評価

4.1
アメコミにまったく詳しくない私。さらに言うと『スーサイドスクワッド』『ハーレイクインの華麗なる覚醒』も未見。そんな感じでも問題なく楽しめました。

根底にある趣味として、アメコミに限らずキャラクター物に対する嗜好はメインキャラじゃない方に向いていて、特撮モノであれば怪人や怪獣の方に、SFファンタジーであればメインにはあまり絡んでこないような謎のキャラに愛おしさを感じる。異星人やアンドロイド達に与えられたデザインてなんて魅力的なんだろう。飛び出たモノ、無駄なモノ、そういったディテールが大好き。冒頭に出てきた両手が自由に取れる戦力にならないポンコツ野郎とか、腐った雑巾みたいなイタチ男のウィーゼルも最高にキモくて嬉しくなる。サメ男も友達欲しい感じが滲み出てて、とってもキュンとする。

本作で最もグッときたのはポルカドットマン(ジャケの右下)。病弱そうなルックスに派手派手カラフルな水玉柄スーツというビジュアルが悲しさ爆発。身体中に発光する水玉がボコボコと湧いてきて結構強烈なビジュアルになり、吐き出すことでスッキリするという奇病の持ち主。家庭事情も複雑そうで、ポルカドットマンの母親の存在がトラウマ的な幻覚として登場するのも最高でした。笑ってしまうほど馬鹿馬鹿しいのに、なんだか感動してしまうビジュアルが衝撃的。

ハーレイクインが『Just a Gigolo』をバックに派手に暴れ回るシーンも素晴らしいハイライト。血飛沫すべてを満開の花びらに変えて、クラシックアニメから抜け出したような小鳥たちが舞い踊る中、男どもをブチ殺しまくる。彼女の中にあるキラキラした世界が見事に咲き乱れて、狂った世界が美しい。

そしてクライマックスに登場する巨大怪獣スターロ!これは完全に『宇宙人東京に現る!』に出てくる岡本太郎デザインのパイラ星人。デッカいヒトデにデッカいひとつ目!これが街をぶっ壊しまくる。脇の下から無数のヒトデが湧いてきて超絶キモい〜。けど着ぐるみ感がカワイイ〜


邦題サブタイトルに『極悪党』とか付けられてるけど、そういうことじゃないね。どうしても社会に順応できないってことは悪ではない。貧しくてネズミを使って強盗したり、お腹が空いて人を食べちゃったり、単に狂っていたり。もちろんダメなんだけれど、好んで今の状態になったわけではない。ドブネズミ舐めんな!