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希望のかなたのkのレビュー・感想・評価

希望のかなた(2017年製作の映画)
3.8
7月から8月にかけてレンタルが開始する作品の多くは、時期的に私が劇場で見逃した作品ばかりでとても後悔する日々が続きそうです。そんな中での、アキ・カウリスマキ監督の「希望のかなた」。素直にいい映画だと思います。あぁ、後悔。

どうしても時期的な理由と難民問題というテーマから、社会的側面に注目してしまいますが、ただ間違いなくトランプ時代である今に合わせているのは少なからずアンチテーゼなのでしょう。作中に登場する難民から口で伝えられる故郷の悲惨な状況や自身が体験した残酷な境遇は、世界へ向けてのそういったメッセージなんですね。その上、カウリスマキ監督の演出的特徴かどうかは分かりませんが、セリフを極力排除して、なるべく絵や動きで見せようとすることによって、その数少ない生々しいセリフが活きてくるんですよ(セリフは別にして、序盤のヴィクストロムと妻が別れるところなんかセリフ無しで描けていて感心しました)。それで、あとは歌の歌詞に任せてるんですね。この演出は見事、というか、それで作品として成立させる上に良質な出来なのでこれはカウリスマキ監督を褒めざるを得ません。そして、今作を最後に監督業を引退されるということで、残念です。お疲れ様でした。
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