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アイムクレイジーのtetsuのレビュー・感想・評価

アイムクレイジー(2019年製作の映画)
3.6
機会があり、鑑賞。

ラストライブ当日を迎えた売れないミュージシャン・佑樹。ふとした気の緩みで交通事故にあってしまった彼は、それがきっかけでシングルマザーの美智子と出会う。彼女に突然、子守りを頼まれる佑樹だったが、その息子は広汎性発達障害を持っており...。

夏休みの終わりに観に行った作品。
というか、まだ1ヶ月しか経ってないのか...。
何か、色んなことがありすぎて、自分の脳内で時空の歪みが起きている気がする...。笑

冒頭のワンカット、ざらざらとした映像、プロジェクションを駆使した幻想的なシーンや気球から見える景色。
一見、地味ではあるけれど、前衛的な演出が光る秀作だった。

僕が好きな音楽映画の名手"ジョン・カーニー"監督(←音楽映画を語るとき、すぐ引き合いに出してしまうクセがあります。なんか、すいません。汗)は、楽曲が生まれる瞬間を映画に閉じ込める天才だと思っているが、今回の映画に登場するセッションシーンも、それに匹敵するぐらいよかった。
なにより、さらっとピアノを弾く桜井ユキさんが最強すぎる...。

また、『いちごの唄』とは全く違う古舘佑太郎さんの演技も印象的。
『いちご...』の臆病な青年とはうってかわって、上手くは行かない人生にもがきながらも、自分の気持ちに正直な主人公がカッコ良かった...。
あと、なんか、結局、バンドマンには憧れますね。笑

あの人物は果たして天使だったのか...?
ラストシーンの意味は?
明らかにならない部分も多いけれど、そんな不思議な余韻も心地よい...。

この年になっても、下らない見栄やプライドや、僅かばかりの虚栄心がまとわりついてくるけれど、
「人間みんな狂ってる。」
それを肯定してくれる本作をみて、前に進むしかないと思った。

あと、自分一人では、多分、出会わない作品でした。教えてくれて、ありがとうございました!
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