ベルサイユ製麺

シークレット・オブ・ハロウィンのベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

4.3
あぁ、また5.0か?と思ったのだけど…

2000年辺りのオーストラリア。郊外のスケートパークにたむろするキッズ。その中に、タグ、というかラクガキだらけの白ワイシャツで揃えた5、6人のタチ悪そうなグループ。トリックをキメる。パシャ。一目でわかるリーダー、の金髪。黒ネクタイをなびかせながらガリーっと走り出す。パシャ。シャッターを切るのが主人公。金髪とぶつかる小柄な少年?ぶん殴られる。鼻血を流しながら情けない顔… パシャ。ヘタクソと罵られながらパークの外へ駆けていく少年… を見つめる主人公。


…辺りまでは完全に5.0です。どきどき。

そのあとのストーリーはですね、
ハロウィンの夜、ピエロや狼や、なんか適当な仮装でBMXを走らせる主人公のグループ。好き放題暴れハングアウトする彼等と、主人公の青年の間には徐々に溝が出来つつあります。好きな子との時間を邪魔された事、以上に、彼等はずっとこの街でダラダラやってたい。女の子とマリファナが有ればOK。でも主人公の彼には、外の世界でやりたい事があるんで。パシャ!っと。
スケートパークでぶつかってぶっ飛ばされた男の子は普段からFAGだキモいだの罵られ、例のスケートグループ≒狼たちの格好の憂さ晴らしのタネでした。それが“ジャングルの掟”なんだって…。で、その辺りも腹に据えかねた主人公は、グループから離れて1人ハロウィンの夜の街を歩きだします。で、(なんとなくお分りでしょうが)ばったりと少年(と思ったけど背が低いだけ)と主人公が出会います。実は、彼等は幼馴染なのでした。
夜の街を微妙な距離感で歩く2人。辿り着いた森。昔と同じように、小川を渡る小さな橋を渡ると、その先は…

…この辺りで、思ってたのとちょっと違うなーってなってしまって、一先ず5.0はお預けにしました。
その先は、現実と幻想が緩く混じったようなハロウィンの一夜の出来事が描かれます。
…狼男のシルエット。誰もいないコンビニ。死者の日。夜の学校。ブラウン管の奴隷。チュッパチャプス。…やっぱり凄く良いのではないか⁈

そして、ショッキングな終盤の展開からの、これ以上は見込めない着地のエンディング。めちゃ良い。…そもそも、(この辺り他の方のレビューと重複します!申し訳ない!)ハロウィン・ナイト、スローモーションの花火、BMX、スケート、フィルムカメラ、赤いフードパーカ、木登り、ビョークのポスター、焚き火、夜の校舎、暗室…好きなモチーフがてんこ盛りなのです!’00年代のサバーバン・ライフ。最高。欠点は全て溶けてどっか行った。
だから、コレはもう何が何でも5.0!…かというと、やっぱり努めて冷静に考えて4.3です。もともとノスタルジーやフェチシズムを充足させる為に作られたのでは無いと思いますし、それ以上にディテールの部分とは関係なくもっと深くこの作品に感応してしまった人、いわば5.0しかつけられない人が居るはずで、それを差し置いて「好きなところいっぱーい」って満点付けるのは気が引けちゃうのです…。でも、そのうちもっとこの映画好きになるかもしれないしなー。うー、DVD買っとくべきかなー?でもそんな映画、100本ぐらいあるしなー…
現状、とりあえず星4.3です!(人によっては1.8です!)