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フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のohtzcaのレビュー・感想・評価

4.8
最低だ、でも最高の映画だ、そしてこの映画はラストほんの数分だけで文句なしの名作だ

フロリダ、ディズニーワールドの近くのモーテルで暮らす貧困層のヘイリーとムーニーの母娘

ヘイリーには品性も学もないので、働こうにも雇い手もなく、その場しのぎでお金を作って何とか暮らす毎日

それでも、ムーニーは無邪気に友達と遊び回る

毒々しいほどカラフルな建造物と憎らしいほど青く突き抜けたフロリダの空

ストーリー自体は、とても酷く救いがなく痛々しいのだけれど、子供たちの姿や鮮やかな色彩のおかげで、凄くポップにカジュアルに観ていられる、途中まで

中盤以降、この母娘の生きる世界が決して空想の物語ではないことが、実感としてジワジワ湧いてくると、もはや、これは他人事では済まされないのではないかという気持ちになってきて

昔、確か「夕焼けの色がこの世界の色だとしたら、今すぐ子供たちにつたえなくちゃ」みたいな歌をベンジーが唄ってたっけな

そう、ここには何も持たざる人々がそれでも子供たちを懸命に愛し守り抜こうとする姿が描かれる

同時に、家や車や生活には十分なお金を持ち暮らす家族も、色々な隠喩や対比を使ってその存在が常に底辺に暮らす人々の生活と隣合わせであることも、きちんと描かている

夏休みは永遠ではないけれど、未来はずっと子供たちの手の中にある

そして、それを見守る大人たち

お金持ちだとか貧乏だとか、そういう事の前に、誰かに愛される事の喜びを、夢見る事の大切さを

そんな当たり前のこと、当たり前過ぎて忘れていたけれど、本当はそういうのを信じられるのって奇跡的なことなんじゃないかな、なんて

ラストが切なくも胸にグッと迫る素晴らしさ