JIN

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のJINのレビュー・感想・評価

3.8
現実社会に対して子供と大人とは目線が違うことを思い出させてくれる。
夢の国の傍に格差社会の底辺が見える安モーテルという対比。
ビッチなシングルマザー・ヘイリーの娘ムーニーの子供の世界にとってはそんな社会のルール云々なんておかまい無し。
この映画での大人社会の現実は子供達の冒険と好奇心に満ちた毎日とは別世界でとことん重苦しい。
母親としてのヘイリーのビッチさには全く共感出来ないものの、娘一人を抱えて生きる為にがむしゃらにタフにならざるを得ない環境には同情する。
教育ってほんまに大事だと痛感する。

この映画のキャッチコピーが「観るもの全てが魔法にかかる」というもの。
いやいや、むしろイヤ〜な現実を突きつけられて目が覚めた気分やぞ。
ウィレム・デフォー演じる管理人の存在が僅かな救い。
それでも他人同士の間にはどうしても立ち入れない距離感というものがあって、無力感でいっぱいになるのだが。
何かまるで是枝監督作品の洋画版を観てるような感じがあった。
と言うのも、子役を初め誰もの演技が自然体にしか見えない。
物語の流れの追い方にしても「いかにも作ってる」っていう感覚がほとんどない。
ショーン・ベイカー監督の演出のやり方とは共通してるものがあるのかもしれない。
JIN

JIN