ウサミ

イカロスのウサミのレビュー・感想・評価

イカロス(2017年製作の映画)
4.3
“事実は小説よりも奇なり”
とはよく言ったもので、当たり前のように享受している情報全てに、我々が想像もつかないような陰が存在しているのかもしれない。

スポーツの世界に存在する闇、『ドーピング』。
これらを暴き出す為のドーピング検査の意義を問うべく、監督自らがドーピングを行いロードレースに参加する、というもの。

…しかし、映画は思わぬ方向へと舵をとります。


僕らが日々テレビの向こうで応援しているのは、一体何なのか?
選手たちは、一体何のために戦っているのか?何と戦っているのか?
全てのもの、その足元を辿って行った先にあるものとは一体何なのだろう。

ドキュメンタリー映画でありながら、サスペンスフルでとてもハラハラした。
かなりコッテリとした濃厚な2時間。けれども、すごく没入しました。

“巧妙な嘘をつきながら、完全なる真実を認識する”
“皆が嘘を受け入れれば、その嘘は真実となる”
独特な演出がとても上手くて、かなり興味深く鑑賞しました。

右向け、右で、皆が右を向くということの恐ろしさ。
そしてまた、この映画を観ている僕自身の態度を問われているのかもしれない。「一体、何を信じて何を疑うのか。」
ウサミ

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