円柱野郎

OVER DRIVEの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

OVER DRIVE(2018年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

架空のラリー選手権を舞台に、メカニックの兄とドライバーの弟が所属するチームの挑戦を描いたドラマ。

いわゆるモータースポーツの世界を描いた話だけど、実写の走行シーンなども多用していて、カメラワークもスピード感があるので映像的な迫力がありました。
実際の国内公道レースはだいぶ少ないけど、架空だとしてもこのようにラリー選手権が盛り上がっているであろうという雰囲気はとても良いものだったな。

ただ内容的には他のドラマの部分を盛り込みすぎたせいで、肝心のラリー選手権の部分がフワッとしてしまった印象も受ける。
おそらくモータースポーツに縁のない人向けに間口を広げたからなんだろうけど、主人公たちが抱える過去の亡くなった女性との関係ついてのストーリーが話のメインになってしまっているのが微妙。
個人的にはそういう兄弟の過去の部分はノイズにしかならなかったし、それもあって「ラリー選手権」が背景に回ってフワッとした印象になってしまったのかも。
「ラリーでなくても成立する話」と書くと意地悪かもしれないけど、ある意味ベタな青春モノなのだから、それ以上に「ラリーでなければならない何か」を加えてくれればもっと良かったのだけど…。
なんとなれば弟ドライバーが激情的なところも成長の落差を描くためとは言え、さすがに現実離れしているよね。
パーティー会場で酔って暴れて人を殴るドライバーなんて、今時いるかなあ…(苦笑)

そもそも勝つための理由付けに「レースに勝つこと」以外のものをノイズに感じるかどうかは、“モータースポーツが好きな人”と“モータースポーツに興味のない人”の間で大きな違いがあるのは感じるところではある。
少なくとも自分は前者の人なので、もっとストイックにレースに携わることの熱さの方向に振ってほしかったというのが正直なところです。

あと脇役の方で、ラリーに縁のなかったマネジメント担当の女性の話は、要潤演じる上司との軋轢があったのだから最後は見返すなり何なりのワンカットくらいあると良かったのかもしれない。
デザイン志望の若者にしても、脇役の存在感の割には終盤フェードアウト気味になってしまったのがちょっともったいない感じはしたね。

とまあ色々思うところはあるけれど、最初に書いた通り、走行シーンのスピード感はなかなか良かったです。
一部CGを使っている場面もあると思うけど実写との組み合わせは違和感なかったし、ロケ地で実際に走っている様子は真実味があったので、それが架空のラリー選手権の存在感を強化してくれていたと思う。
円柱野郎

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