ろ

ビール・ストリートの恋人たちのろのレビュー・感想・評価

4.7


自由よ、響き渡れ


無実の罪で投獄されたファニー、そしてその恋人ティッシュ。
彼らの生活から見えてくるのは・・・

この映画にはKKKが出てきません。
明らかな暴言や暴力もありません。
だからこそ、彼らがどれほど身の危険を感じながら毎日過ごしているのか、切実に迫ってくるのです。

『私はあなたのニグロではない』でボールドウィンさんが語った言葉「わたしはとにかくこの国から逃れたかった。」
そのままファニーのセリフとして出てきたとき、胸が締め付けられるようでした。



ファニーとのこどもを身ごもったティッシュ。
彼を監獄から救うため、デパートの香水売り場で働きます。
白人の老婦人は香水のついたティッシュの手を取り 香りを嗅ぐ。
黒人男性は自分の手につけて香りを嗅ぐ。
白人男性は、ティッシュの手を自分の鼻にこすりつける。
ティッシュにはこの瞬間が永遠のように思われ、まるで自分の一生のような気がして恐ろしく、体をこわばらせるのです。

ティッシュが言い寄られているところに、殴りかかるファニー。
そこへ偶然通りかかる警官。
きっかけなんて、なんでもいい。
憎しみの対象なんて、この街には有り余るほどいるし、いつどこでその対象になってしまうか(目を付けられるか)なんて、だれにも分からないのだ。


恐怖に晒される日常のせいなのか、自分の息子よりも、会ったことも見たこともない神の言葉を信じる(すがる)母親。
ファニーとティッシュのこどもは大きくなり、絵を描いている。
そして祈るのだ。
「神様がパパを守ってくれますように」




「人間の違いは、母親が違うだけだ。みんなもっと愛し合えばいい」











_φ(・_・

とーっても眩しい恋愛映画。
想像のソファに、想像のベッド。
想像の冷蔵庫を持ち上げて運ぶ彼に、「お疲れさま!つぎはストーブをお願いね!」

やっと家を借りることができた喜びの叫び。
ウォー!キャー!
抱き合うふたりが、やっぱり眩しい。
ろ