どーもキューブ

ビール・ストリートの恋人たちのどーもキューブのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

バリージェンキンスのビール通りの黒人カップル




アカデミー助演女優賞、ゴールデングローブ助演女優賞受賞レジーナキング。

製作ブラットピッドほか。
原作ジェームズボールドウィン。
脚本監督バリージェンキンス。



紫のムーンライト、光照らされるとある黒人男性の愛のクロニクル「ムーンライト」

一躍バリージェンキンス監督オスカー獲得で頭角を現したセンシティブ系映画監督。

第二弾は「ビールストリートの恋人たち」チラシ見ると。
なんか普通の黒人カップルのラブストーリーなのか。甘い予感。なぜかシネコンでかからず。

本作でオスカー受賞のレジーナキング。

私のオールタイム作品ジョンシングルトン監督「ボーイズンザフッド」の彼女だ。その頃はまだまだ若くて元気バリバリな女優だった。
ツィッターでオスカー受賞聞き画像確認したらそうだった。びっくりした。

わがミニシアター、シネウインドで上映されていたが行けず。1週間レンタル鑑賞した。



間違いなく前作「ムーンライト」より好きな作品になった。

最初は、黒人どうしの軽いラブストーリーかなあとか、同性愛絡むラブかなあとか事前予想した。
が、流石監督。しっかりビールストリートと時代をおさえつつ重たく素晴らしいラブがあった。ヘイトもあった。ヘイトは、黒人監督のトップランナー、スパイクリーが描く感じとは静かに違う。どっしりとして、逃れられなくて、ラブは壁とストリートとヘイトにまみれながら愛を紡ぐ。

バリュージェンキンス監督の演出にこたえた2人の主演カップルが素晴らしかった。経歴みたらほぼ出演1、2作品の新人さんだった。

優しそうなステファンジェームスこと「ファニー」男気というよりひとえに愛し、笑いあい、時に対立する男性。

みずみずしい若さ溢れるヒロインにキキレインこと「ティッシュ」(ティッシュって!思ったけど、彼氏ファニーだし。かわいいクリネックスかい!とか思ったが、黒人名前あるあるかもなあ。キラキラネームじゃなくて可愛いネームありそう。)
キキレインのなんだか恥ずかしいほどのたたずまいが見れてそれだけでも本作素晴らしかった。

恋がふかまり、
愛がみのり、
生命がやどり、
不運に見まわれる、
ストリートにやられ、
ヘイトにつまづき、
不意に悪口ぶっさされ、
見たくもない眼差しでにらまれるヘイトなんだ。
2人は巻き込まれ、
壁に隔たれ、
電話ごしに、
喜怒哀楽
ラブアンドヘイトが
交錯する。

さてビールストリートの恋人たちはいかに?
のような物語。

2作目にして私が90年代見たいなあという作品が2019年に表れた。
いわゆる「普通の黒人たちのラブストーリー」だった。90年代のひとりブラックムービー好きになった自分のなかで湧き上がった思いだ。普通のやつがみたかった。無論普通じゃないんだが。

ティッシュの様々な表情に不安や恋愛のキラキラや冗談や家族とのひとときを感じながら。
お隣さんの友人の狂信的な宗教信者の家族エピソード必見。

そして本作にアカデミーの波をもたらし、本作の劇的な何かをもたらすレジーナキングの助演演技の素晴らしさ。「ボーイズンザフッド」のアーパー元気な明るい娘なんて微塵もないマザー役。ラストの素晴らしい駆け引きは見逃すな。私は間違いなくやるせなくなった。し、自分にもこんな瞬間、こんな同状況はないけど、いたたまれない現実を感じた。それは誰にでもある現実的瞬間だ。

ラブとはほど遠い。

いやあ日本映画にね、こんなテイストね、誰がだせます?出せないから凄いです。この味、感性、描き方。

バリュージェンキンスは、ひたむきで真面目なんだろうなあ。ブラックカルチャーにおっかかることなくおそらく原産のエッセンスをほどよく抜き映画化したに違いない。大好きな監督になりました。

製作のブラピの株も私の中であがりましたね。やるなブラピ!

ラストにどんなものが見えるでしょう。
それは困難だらけの
相変わらずヘイトにあし嚼まれる毎日かもしれないけど
ティッシュとファニーに幸せになってほしいとなんかいつになくラブストーリーにときめいた俺だった。



さて
バリュージェンキンス監督の
バリージェンキンスのビール通りのファニーとティッシュ


ブラックムービーファンは!ぜひおすすめ!



追伸
2019年劇場洋画ベストスリーにランクインです。こんな映画すきだもん!俺!
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