KSat

スリー・ビルボードのKSatのネタバレレビュー・内容・結末

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

アメリカ南部のエグい描き方、風景のインサートカットの撮り方、マクドーマンドの顔、カーター・バーウェルのスコアもあってコーエン兄弟感が凄いな、と前半は思った。
だが、観ている途中から、コーエン的な「匂わせ方」や「余白」よりも、「シンプソンズ」や「キング・オブ・ザ・ヒル」的なシュールで分かり易い笑いがこの映画の中心にあることがわかる。

「憎しみの炎」という言葉があるように、この映画の中では「憎しみ」が炎のように燃え広がり、焼き尽くさんとする。ビルボードを焼く炎をマクドーマンドが消すことができないのは、胸に「憎しみ」を抱いているからだ。
しかし、そんな中で、ハレルソンは「手紙」の中で、もっともシンプルな「消火」の術を書き記す。それこそが、「愛」に他ならないのだ。やがて、愛(言い換えるならば受容)が彼らの間に広がり、互いを許し合うようになることで、「憎しみ」は消されてゆく。

誰がどう観てもわかりやすいようなクリスチャン的な寓話といえるが、なぜこのような映画が今作られたのか、我々はもう一度考えなければならないだろう。
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