やた

スリー・ビルボードのやたのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.0
テンポが良いわけでもないのに、過剰な演出もないのに、次に何が起きるかずっとハラハラして観ていたらあっという間に終わった、という感じ。
クセの強い登場人物ばっかりだけど、みんな色んな面があって、善か悪か、強いか弱いか、優しいかそうでないか、それを示すことをせず、すごくリアルに描写されていて演技を見ている気がしなかった。
この人はこの人に対してどういう感情を持っていて…とかこんなことがあったからこう感情が変わって…とかきちんと描かれてないと、下手すればキャラぶれと捉えられかねないけど、そんな次元を超えてとにかく生の人間を描いていると感じた。
感情移入するところもあればしないところもあるし、賛同できるところもあれば理解できないところもある、それが普通だなと。
問題提起がたくさん盛り込まれていて、こんな作品が生まれるバックグラウンドを思うと悲しい気持ちにもなるけど、善悪ハッキリさせてドラマティックに盛り上げて、みたいなことにならずこの作品が成り立ったことと、そして高く評価されていることが素晴らしいなと思う。
ものを作ることへのモチベーションを刺激された。
やた

やた