やた

12日の殺人のやたのネタバレレビュー・内容・結末

12日の殺人(2022年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

冒頭で"未解決事件"とある通り、事件は解決されないまま、犯人だろうと思われる人物も絞り切れないままの物語。

若い女性が無惨な方法で殺された時、どのように真相を推理するのか。
刑事たちは被害者の親に子供が殺されたことを告げなければいけなかったり、プライベートな人間関係を暴いたり、理解できない相手を根気強く尋問しなければいけなかったりする上に、徹夜しても残業代は出ず、コピー機の修理を自分たちでしないといけないし、私生活では大変な出来事が起きていたりする。関わった事件のことが頭から離れなくなり、心が憎しみに支配されてしまう。
そんな中でも判事に褒められるくらい丁寧でちゃんとした捜査を進めているにも関わらず、無意識の偏見が露呈してくる。
「性に奔放な女性だから、男性に恨みを買って殺されたんだろう」

SNSでもよく見る「そんな飲み会に行ったら何をされても仕方ない」「そんな格好していたら触られても仕方ない」なんかの主張と同じものが、正義の下に行動するはずの刑事たちにも無意識に根付いていることがわかる。

でも自分の中にもいつからかそういう考えがあって、ふとした時に「いやまぁでも確かにここまで露出が多いと…」とか思ってしまって、すぐに「いやいやだからって触っていい理由にはならん」と改める、という繰り返しをしている自覚がある。

「女の子だから殺されたの」と泣くナニーと、3年経った命日に公園を訪ねて泣き崩れるクララの両親の姿を忘れないように、もう同じような発想をして自分で否定しなくてもいいようにしたい。
やた

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