yukihiro084

ガーンジー島の読書会の秘密のyukihiro084のレビュー・感想・評価

4.0
僕たちは何も知らない。
登場人物たちの性格も考え方も
生い立ちも苦しみも痛みも。
ガーンジー島のことも。
ガーンジー島の美しさも。

そして、空白の時間も。

本をテーマにした作品は
それだけで観たくなる。
そしてそれらの作品には、必ず
戦争による喪失や痛み、家族愛がある。
(マイ・ブックショップ )、
(やさしい本泥棒)、そして今作
(ガーンジー島の読書会の秘密)。
主役はみんな、女性だ。
戦争の影。過酷な時代を生きた女性だ。
エミリー・モーティマー、
ソフィー・ネリッセ、
そして、リリー・ジェームズ。
本は本でも、脚本も入れてよければ、
ここに(人生はシネマティック!)も
入れてもいい。あれも良かった。
ジェマ・アータートン。
エミリーもソフィーもリリーも
ジェマも、みんなみんな良かった。
4作とも素晴らしい作品だった。

僕たちは何も知らない。
こんなキレイな海岸線のある島のことを。
こんなキレイな海岸線に醜い砲台が
造られたことも。地雷も空爆も。
読書会のメンバーの痛みや涙も。

僕は、テレビのドッキリが観られない。
隠し撮りをして、みんなが笑う。
だが、僕は笑えない。
僕は、飲み屋で人の悪口を言って
飲むことが出来ない。みんなが笑う。
だが、僕は笑えない。
本当は映画でも観ていたい。
本当は映画でも語りたい。

本当の自分って。

セレブの彼氏がいる
作家のジュリエットも彼氏同様、
パーティ好きかと思えばそうではない。
豪華な指輪も都会の花束も、彼女には
しっくりこない。居心地が悪い。

野の花のプレゼント。
前世で会った?私は来世で。
初めての場所なのに、懐かしい。
本当の自分って。頬が緩む。
島の読書会のメンバーと
島を訪れたジュリエットは出逢う。
戦争により喪失感を抱え、読書と
言う楽しさを共有し、彼女らは
あっという間に親しくなってゆく。

そしてジュリエットには、親しい男が
3人登場する。リリー・ジェームズだ
ものね。個人的には編集者のシドニーが
好きだったけどな。

何もない海岸線の、緑の大地と
険しい崖のコントラスト。
美しさと厳しさが共存する。
まるでこの作品を象徴するかのよう。

いや、素敵な映画でした。
僕も読書会に入りたい。
yukihiro084

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